おもな被害状況
国指定文化財
旧岡田家住宅
店舗部分西北部の大屋根が東西8メートル,南北6メートルにわたって崩落し,南北列の柱が西側に傾きました。また,釜屋北側と酒蔵西側の壁も崩落し,屋根はすべてうねりが生じて,瓦が波打つ状態となりました。
有岡城跡
本丸地区復元石垣は,石垣西面の上部が崩壊しました。また,北側では石垣全体にゆるみやズレが生じ,一部は脱落しました。
慈眼寺の木造釈迦如来坐像
幸い損傷はありませんでしたが,本堂が南側に大きく傾き,倒壊の危険が生じました。

崩壊した有岡城跡の復元石垣

傾いた慈眼寺本堂
県指定文化財
昆陽寺山門・観音堂
柱のほとんどが3~5センチ移動し,山門全体にねじれが生じたほか,すべての壁にヒビが発生しました。また山門内の仁王像2体,広目天像・多聞天像(のちに県指定)は傾斜および倒壊し,大きく損壊しました。昆陽寺観音堂についてはさらに被害が甚大で,建物全体が移動・変形しました。とくに北面に被害が集中し,倒壊寸前の状態となりました。内部でも壁面の多くが崩落しました。

傾いた昆陽寺山門

移動した山門の柱

変形した昆陽寺観音堂

礎石からずれた観音堂の柱

観音堂北面の被害

観音堂内部の被害
鴻池神社本殿
覆屋(おおいや)が10~15センチずれて左後方に大きく傾き,その内部に納められた本殿も左後方に傾いて覆屋と接触しました。拝殿は右側に大きく傾いて,さらにひどい状態となっており,その後倒壊してしまいました。
(下の写真は鴻池神社、傾いた覆屋と本殿)


傾いた拝殿

倒壊した拝殿
春日神社(口酒井)
コンクリート造りの覆屋に納められていたため大きな被害はありませんでしたが,本殿が東側に移動して基礎敷石(土台)からはずれ,各部材・組物にズレが生じました。また正面向拝板が落下しました。
市指定文化財
辻の碑(いしぶみ)
碑の基礎部分から折損しました。
頼山陽撰並書の大塚鳩斎墓碑
墓石がほぼ90度右に回転し,両脇の燈籠が倒壊しました。
阿部備中守正次の墓
完全に倒壊しましたが,所有者により復元されました。また石造の玉垣および扉も破損しました。

折損し転倒した辻の碑

阿部備中守正次の墓の被害
頼山陽撰並書大塚鳩斎墓碑(らいさんようせんならびにしよおおつかきゅうさいぼひ)
発音寺(ほつおんじ)の十一面観音立像
前に倒れ,両腕が損壊しました。なお本堂は前面に傾き,瓦が崩落しました。内部の三面大黒天(のちに市指定)など指定外の仏像の多くが被災し破損しました。
(下の写真は傾いた発音寺本堂の様子)


前に倒れた十一面観音像

破損した三面大黒天像
未指定の文化財
未指定文化財の被害状況については,完全に把握することができませんでしたが,たとえば萬徳寺庫裡(北本町1丁目)・最光寺本堂(堀池3丁目)・称名寺本堂(森本2丁目)・西教寺本堂(荒牧3丁目)などが全壊したほか,法巌寺・正善寺(中央2丁目)など多くの寺院が解体・建て直しを余儀なくされました。境内の墓石や石塔類にも大きな被害がありました。
神社では,猪名野神社(宮ノ前3丁目)で幣殿が倒壊するなど,多くの建物に被害がありました。参道や境内に林立していた石燈籠・鳥居なども倒壊したものが多くありました。
また,旧伊丹郷町や旧西国街道沿いの古民家などにも甚大な被害があり,多くが取り壊されました。その土蔵に眠つていた古文書なども,多くは土蔵の倒壊により失われたり,文化財的価値が理解されないまま捨て去られたりしました。
こうした未指定文化財は,十分な調査も行なわれないまま,また,十分な保護策が講じられないまま消滅する恐れがある点で,むしろ指定文化財より問題があると考えられます。

猪名野神社参道・石燈籠の被害

倒壊した猪名野神社幣殿(へいでん)

猪名野神社本殿背後の被害

猪名野神社・倒れた鳥居と石燈籠

容住寺(荒牧)の被害

倒壊した容住寺の庚申堂
この記事に関するお問い合わせ先
都市活力部まち資源室文化振興課(文化財担当)
〒664-8503伊丹市千僧1-1(市役所4階)
電話番号072-784-8090 ファクス072-784-8048
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更新日:2021年05月25日