令和5年度(2023年度)施政方針

更新日:2023年02月22日

令和5年度(2023年度)施政方針

令和5年度施政方針説明風景

藤原保幸市長は、令和5年2月20日、令和5年第1回市議会定例会で、令和5年度の施政方針を表明しました。

施政方針は次のとおりです。

目次

「未来へつなぐ 伊丹」の実現に向けて

1.「未来へつなぐ 伊丹」の実現に向けて

2.国内外の情勢認識

3.課題認識と市政運営の基本方針

(1)未来を担う人づくり

(2)安全・安心のまちづくり

(3)デジタル改革

(4)ゼロカーボンシティの実現

4.令和5年度の取り組み

5.予算概要

令和5年度各会計予算及び各議案の提案に際し、市政運営の基本方針並びに予算案の諸事業について、所信の一端と施策の大綱を申し上げます。

1.「未来へつなぐ 伊丹」の実現に向けて

(はじめに)

令和4年末に放送された「輝く!日本レコード大賞」という大舞台において、伊丹大使で俳優の有村架純さんが総合司会を務め、同じく伊丹大使の花村想太さんがボーカルを担当する5人組アーティスト「Da-iCE」が、一昨年の大賞受賞に続き2年連続で出演し、お二人の共演が実現しました。番組の中で、花村さんが昨年一番嬉しかったこととして、伊丹大使への就任を挙げ、ふるさとを誇りに思って語った場面に、私だけでなく多くの市民の皆さまが、喜びを感じたのではないでしょうか。昨年11月に開庁したこの庁舎1階には、お二人をはじめ18人の伊丹大使ゆかりの品を展示し紹介するコーナーを設けました。これからも伊丹の応援団として、それぞれの分野で活躍されることを期待しています。
令和4年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったことで、世界中が衝撃を受けると同時に、社会経済構造が大きく変わり、混迷を極めた1年となりました。多くの尊い命が失われていることに深く憂慮し、強い憤りを覚えます。一日も早く穏やかな日々が訪れることを願ってやみません。また、その影響は両国のみに留まらず国際社会を巻き込み、我が国にも原油や資材、食料品等の価格高騰という形で国民の暮らしを圧迫し続けています。
そして、新型コロナウイルス感染症は、世界規模で感染拡大して4年目を迎え、これまでの間、ウイルスの変異による感染拡大が繰り返されてきたところですが、国では、新型コロナの感染症法上の位置づけについて、季節性インフルエンザと同じ5類への引き下げを決定し、この難局の先を見据えた社会経済活動の再生に取り組もうとしています。本市では、ワクチン接種の推進をはじめとする感染拡大防止や直面する物価高騰への対策を実施するとともに、段階的な制限の緩和によって、まちは少しずつ活気を取り戻し、昨年は3年振りに「いたみ花火大会」も開催することができました。
今後におきましても、市民の皆さまの命と健康が守られ、安心して日々の暮らしを営み事業活動が継続できるよう、全力で対策に取り組んでまいります。議員各位をはじめ市民の皆さまのお力添えを賜りますよう心よりお願い申し上げます。

(伊丹のまちづくりと市政運営の決意)

日経BP総合研究所が昨年8月に発表した、全国のビジネスパーソンを対象に「まちの住みやすさ」を調査した「シティブランド・ランキング ―住みよい街2022―」において、本市が全国で18位、近畿地方で3位にランクインするなど、民間企業の実施する複数の調査で、伊丹のまちの住みやすさに高い評価をいただいているところです。
その一方で、令和4年の人口動態では、転入が転出を上回る社会増となっているものの、死亡数が出生数を上回る自然減の傾向が拡大しており、少子高齢化という日本全体の傾向が本市でも例外なく表れているものと捉えています。国の令和4年の出生数は80万人を割り込み、明治32年の人口動態調査開始以来、最少記録の更新が見込まれるなど、コロナ禍で人口減少・少子化が加速しています。
令和5年度は、第6次伊丹市総合計画の3年目、私の任期の折り返し地点となります。市民の皆さまとお約束したマニフェストについては、さらなる推進を図り達成に向けて取り組んでまいります。
加えて、あらゆる物事が激変する今、前例に捉われず、その変化に臨機に対応することが重要です。本市の将来像「人の絆 まちの輝き 未来へつなぐ伊丹」の実現に向けた手段としても、未来を担う人への投資をはじめ、日々進歩するデジタル技術の活用、人間社会や自然環境に深刻な影響をもたらす気候変動問題への対応を進めることにより、伊丹市をさらなる高みへと成長させなければなりません。
これまで取り組んでまいりました行財政改革の成果などを活かし、子育て支援施策を充実させるとともに、社会の変化に切れ目なく柔軟に対応し、市内外の方から「子育てしやすい」「住みたい、住み続けたい」と感じていただけるまちづくりに、全身全霊を傾けて取り組んでまいります。

2.国内外の情勢認識

IMF(国際通貨基金)が1月末に公表した「世界経済見通し」では、実質GDP成長率は、2022年の推定値3.4%から、2023年に2.9%へ鈍化した後、2024年には3.1%に加速すると見込まれています。しかしながら、インフレ抑制のための各国中央銀行の利上げやロシアのウクライナ侵攻の長期化などが重しとなり、過去20年間の平均成長率3.8%を下回ると予測されています。
一方、内閣府発表の2023年度の経済見通しでは、国内経済においては、物価高を克服しつつ、計画的で大胆な投資を官民連携で推進するなど、持続可能な成長経路に乗せるための施策を進める中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクも踏まえ、実質GDP成長率は2022年度1.7%から2023年度は1.5%程度になるものと見込まれています。
岸田首相は、不安定さを増す国際平和秩序をはじめ、気候変動問題、脆弱なサプライチェーン、世界規模でのエネルギー・食料問題など多くの課題に直面する今を、近代日本にとって明治維新、第2次世界大戦の終戦に続く3度目の歴史の分岐点と表現しました。そして、持続可能な経済社会を創り上げるために、足もとの的確な物価高対策と持続的な賃上げ、投資と改革を掲げ、「グリーン・トランスフォーメーション」「デジタル・トランスフォーメーション」などで成長と分配の好循環を生み出すとともに、待ったなしの課題である子ども・子育て政策を体系的に取りまとめ、6月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示するとしています。
本市におきましても、引き続き国内外の情勢や政策動向を十分注視しながら、市政運営に努めてまいります。

3.課題認識と市政運営の基本方針

令和5年度の市政運営にあたりましては、「未来を担う人づくり」「安全・安心のまちづくり」「デジタル改革」「ゼロカーボンシティの実現」を柱とした各施策を推進し、未来へつなぐまちづくりの実現に全力で取り組んでまいります。

(1)    未来を担う人づくり

本年4月に、子ども政策を強力に推進する国の司令塔として、「こども家庭庁」が発足します。今通常国会で岸田首相は、「子どもファーストの経済社会を作り上げ出生率を反転させるために、従来とは次元の異なる少子化対策を実現する」と決意を表明しました。
私はこれまでより、未来を担う子どもの健全な成長を支え育むことは我々大人の責任であると考え、「まちづくりは人づくりから」という政治信条のもと、子育て支援や教育をまちづくりの重点施策として推進してきました。子育て世帯を取り巻く環境の充実や負担の軽減など、子どもを中心に据えた施策を、一段と強力に推し進めてまいります。

(こども医療費助成の拡充)

こども医療費助成制度については、これまでより、所得制限に関して市議会をはじめ市民の皆さまからご意見・ご要望をいただいています。長引くコロナ禍を経験して、本市の未来を担う子どもの命と健康を守るために必要な医療を分け隔てなく受けることができる「子どもが健やかに育つまち」にしたい、そして、子育て世帯の経済的負担を軽減することにより、「子育てしやすいまち」にしたいとの思いに至りました。そこで、本年7月より、中学3年生までの通院・入院医療費は、保護者の所得制限撤廃により完全無償化するとともに、新たに高校生の入院医療費について所得制限を設けず無償化します。

(保育料の負担軽減)

保護者の就労意向の高まりにより、保育需要は高い水準で推移しています。民間保育所の整備支援など、引き続き保育定員の確保に向けて取り組むとともに、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子ども2人以上が同時に保育所等を利用する場合の、0歳から2歳までの第2子の保育料を、保護者の所得に関わらず本年9月から無償化します。加えて、所得制限の範囲内において、第1子の年齢に関わらず第2子の保育料を無償化します。

(学校給食費等の負担軽減)

物価高騰の影響を受けた小中学校及び就学前施設の給食食材費の高騰分について、保護者負担とならないよう対応してきましたが、令和5年度も令和4年度の実績に基づき支援します。

(放課後児童くらぶの充実)

本市では、働く保護者などの子育て世帯を支援し子どもの健全な育成を図る場として、全小学校に放課後児童くらぶを設置しています。時代とともに変化する保護者ニーズを踏まえ、待機児童を出さず希望者全員を受け入れるための環境整備や開設時間の延長、対象学年の拡充、さらにはタブレット端末を活用した学習支援のためのICT環境の整備などに取り組んできました。放課後児童くらぶを利用する保護者の負担軽減となる夏季休業期間中の昼食提供事業については、今年度の試行事業の結果を踏まえ令和5年度より本格実施します。

(2)    安全・安心のまちづくり

(地域医療体制の整備)

少子高齢化が急速に進展し、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目前にしています。これからの医療需要の変化を見据えた地域医療体制の構築は、コロナ禍を受けて、その重要性が再認識されているところです。
本市の地域医療の中核を担う統合新病院整備事業は、先週2月15日に行われました入札の結果、工事請負業者が決定し、令和8年度の開院に向けて、いよいよ本体工事に着手します。
新病院では、脳卒中や心筋梗塞等の症状が重く迅速な対応が必要な患者について、24時間365日の受け入れを可能とするとともに、新興感染症等にも機動的に対応し、感染症流行下にあっても安定した医療提供を行います。また、近畿中央病院跡地に回復期機能を有する民間医療機関を誘致することについては、市内の医療需要や病床の機能分化の観点からも重要な課題と位置付けており、引き続き、公立学校共済組合と協議を進めてまいります。市民の皆さまの身近なところで質の高い医療を提供し、いつまでも住み慣れた地域で安心して健やかに暮らすことのできるまちを目指します。

(避難所環境の充実)

2月6日、トルコ南東部のシリア国境近くで大地震が発生し、多くの死傷者が報告されています。阪神・淡路大震災や東日本大震災など大災害を経験した日本が最大限の支援を行うべく、国際緊急援助隊の救助チームや医療チームの派遣、政府専用機での医療器材の輸送が行われています。今後、わが国で発生の可能性が高まる南海トラフ巨大地震や豪雨による洪水、土砂災害などの大規模災害に対して、私達は過去の災害からの学びを生かし、被害が軽減するよう備えなければなりません。
これまでも、地域ぐるみで行われる防災訓練、AIを活用した情報収集や避難支援を行う「LINE防災アプリ」の運用、防災倉庫の整備など市と市民が共にまち全体の防災力の強化に努めてきました。令和5年度は、災害時に指定避難所となる小学校体育館に空調機器を整備し、避難所環境の向上に向けた実証実験を始めます。主な目的は夏場の避難者に対する健康配慮でありますが、平時には子どもたちの熱中症対策としても活用が可能であることから、その効果や運用について評価検証を行います。
引き続き、私が市長就任以来、一貫して市政の一丁目一番地に掲げる「安全・安心のまちづくり」を推進してまいります。

(3)    デジタル改革

日本のデジタル化の遅れは、コロナ禍の行政活動や働き方をはじめ、教育や医療など様々な場面で問題に直面しました。このような状況から、国は、デジタル社会を実現するための司令塔として一昨年9月にデジタル庁を発足させ、社会全体のデジタル化の取り組みを牽引しています。
社会経済構造が大きく転換するこれからの時代に対応するために、本市が昨年4月に策定しました「伊丹市デジタル・トランスフォーメーション推進指針」では、「デジタルがつなぐ 人にやさしいまち スマートいたみ」を目指すべき社会像とし、本市のデジタル化の拠点となる「スマート『市役所』いたみ」と市域のデジタル化に係る「スマート『シティ』いたみ」という2つのビジョンを掲げています。
働き手の不足が大きな社会問題となる今日において、デジタルの力によって、業務全体の効率化や最適化が図られ、これまでにない一人ひとりのニーズに合わせた質の高い行政サービスの提供が実現できると考えています。さらに、オープンデータの提供を通じた地域活性化や地域社会のデジタル化による安全・安心の実現など、人にやさしいまちづくりにも大きく寄与すると期待しています。
この庁舎の開庁に合わせ、「行かなくていい」「待たなくていい」「書かなくていい」をコンセプトとし、市民の皆さまの簡単・便利を実現する新しい行政サービスとして「スマート窓口」を導入するとともに、ライフスタイルに合わせ、24時間365日、自宅などから手続きができるオンライン申請を実現しました。令和5年度は、オンライン申請時の手数料の支払いに、クレジットカードなどのオンライン決済を可能にします。
また、市内各地域では、ライフスタイルの変化や住民ニーズを考慮し、地域活動のデジタル化への取り組みが始まっています。各小学校区の組織が、拠点として利用する共同利用施設等にWi-Fi環境を整備し、時間や場所に制限されず誰もが参加しやすい地域活動となるよう支援します。
今後も引き続き、国が成長戦略の重要な柱とするデジタル田園都市国家構想に位置付く取り組みをはじめ、日々進化するデジタル技術を活用した施策の推進により、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる「スマートいたみ」を目指してまいります。

(4)    ゼロカーボンシティの実現

気候変動問題は、国際社会が結束して直ちに取り組むべき重要な課題です。本市では、市と市民・事業者が一体となって地球温暖化に対する問題意識を共有して取り組みを推進するため、「伊丹市ゼロカーボンシティ宣言」を今議会に提案いたしました。その目指すべき目標として、国や県の関連計画との整合や本市の地域特性、現状等を考慮した上で、2030年度の温室効果ガスを2013年度比で48%削減することとしました。目標達成に向けては、「創エネ蓄エネの普及拡大」、「移動手段の脱炭素化」、「使用電気の脱炭素化」、「環境価値の創造」、「省エネの普及拡大」という5つの柱を定め、実効性を高めます。
これまでも、温室効果ガス排出削減に向け、太陽光発電設備等の共同購入支援事業など、先駆的かつ積極的に事業を進めてきたところですが、令和5年度は、2050年カーボンニュートラルを見据え、温室効果ガス削減効果を価値化したカーボンクレジットを軸に、伊丹市と市民、そして森林・海洋資源を保有する自治体との連携による新たな社会モデルの構築事業に着手します。市内の太陽光発電で得られたカーボンクレジットを原資に、森や海の環境保全活動を行い、そこで創出されたグリーンカーボン、ブルーカーボンのクレジットとの取引で、庁舎で使用する電気以外のエネルギーから排出される温室効果ガスをオフセットするものです。SDGsの達成も視野に、連携する自治体の社会課題の解決を図ることや、経済効果を生み出すものにすることで、環境と経済の好循環が実現すると考えています。この循環サイクルが官民共創による日本の新たな社会モデルとなり、持続可能な事業として基盤が確立されるまでの間、「伊丹市ゼロカーボンシティ宣言」に賛同いただく企業からのふるさと寄附を活用し事業を進めます。
我が国が世界に約束した2050年カーボンニュートラルの実現は、都市型の地域特性を持つ本市にとって大きなチャレンジであり、本市の2030年度の目標達成に向けては、市民・事業者の皆さまをはじめ、国や県、近隣自治体等のあらゆる関係者と連携・協力しながら取り組まなければなりません。今ある環境を未来の子どもたちに届けるために、グリーン・トランスフォーメーションの取り組みを進めてまいります。

4.令和5年度の取り組み

令和5年度の諸事業について、第6次総合計画の大綱に沿って、ご説明いたします。

大綱1 安全・安心

大綱の1つ目、「安全・安心」です。
災害時における市民生活の早期再建を支援するため、家屋調査の時間短縮と早期の罹災証明書の発行を可能とする、クラウド型被災者生活再建等システムを導入します。
令和6年度の市民広場完成による庁舎のグランドオープンを目指し、市役所旧庁舎解体工事、駐車場整備工事並びに外構舗装工事を実施します。
浸水対策の強化を図るため、鈴原町地区の雨水管渠の整備を行うとともに、金岡川の改修工事に向けた実施設計を行います。また、中野東雨水ポンプ場をはじめとするポンプ場設備の保全及び長寿命化工事に向けた実施設計を行います。
消防車両整備計画に基づき、小型水槽付ポンプ自動車2台、救助工作車、救急車、指揮広報車各1台を更新するとともに、消防活動時の安全管理や被害軽減を目的に、新たに災害活動用ドローンを整備します。

大綱2 育ち・学び・共生社会

次に、大綱の2つ目、「育ち・学び・共生社会」です。
民間保育所の誘致などにより、130名分の保育定員の確保に取り組むほか、奨学金返還支援事業をはじめとして民間保育事業者の人材確保を支援します。また、保育士等の業務負担軽減及び保育中の事故を未然防止するなど保育環境改善を目的に、民間保育所等に対し、ICTを活用した業務システムの導入を支援します。
送迎用バスの置き去り防止用安全装置の設置義務に対応するため、こども発達支援センターや特別支援学校等の送迎用バスに装置を設置し、民間事業者が運営する幼保連携型認定こども園に対しては、設置費用を支援します。
中央保育所の大規模改修工事を実施します。工事期間中の代替保育施設として、旧せつよう幼稚園に仮設園舎を整備し、中央保育所と旧せつよう幼稚園との間で送迎バスを運行します。
「伊丹が一人でも多くの子どもの声が響くまちになってほしい」との意向とともにいただいた寄附を活用し、就学前施設に、子どもの成長の糧である「遊び」や「学び」を促す絵本や玩具を購入します。
子どもの夏季休業期間中の「居場所づくり」「体力づくり」の場として、17小学校の児童を対象に、市内4カ所の公共プールで無料開放を実施します。
休日の中学校部活動について、段階的な地域移行に向けた体制整備や指導者の確保などを検討し、円滑な移行を目指します。
安全で快適な教育環境を提供するため、小学校4校における大規模改造工事をはじめ、小中学校・幼稚園において、空調改修工事などを実施します。また、小中学校7校への太陽光発電設備設置のための実施設計を行います。さらに、新型コロナウイルス感染症対策として、学校園施設の共用部分に抗菌・抗ウイルスコーティングを実施します。
プラネタリウムの誕生から100周年と伊丹メガスター10周年を記念する、こども文化科学館の番組投影において、伊丹大使 花村想太さんをナレーターに起用します。投影期間中には、場内で本市のPR動画を流すなど、シティプロモーションを展開します。

大綱3 健康・医療・福祉

次に、大綱3「健康・医療・福祉」です。
孤独感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭に対し、妊娠時から出産・子育て期までの伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施します。また、産後ケア事業について、対象施設や対象の月齢を拡充します。
フレイルや認知機能低下のリスクを持つ人を早期に発見し予防や必要なサービスに繋ぐため、市内商店街などでフレイル及び認知機能低下のリスクチェックや、予防方法の周知啓発、相談などを行います。
セルフネグレクトなどの支援拒否者に対し、継続的な訪問等により信頼関係を構築して必要な支援が開始されるよう、新たにアウトリーチ支援員を配置します。
フードシェアリングや子ども食堂を運営する民間団体と連携し、相談支援を実施することで、生活困窮など個別支援が必要な方の早期発見に努めます。
骨髄移植事業の推進を図るとともに、骨髄や末梢血幹細胞を提供した市民の経済的・心理的負担を軽減するため、骨髄等の提供にかかる通院や入院日数に応じた助成を行います。

大綱4 市民力・にぎわい・活力

次に、大綱の4つ目、「市民力・にぎわい・活力」です。
地域の実情に応じた活動を支援するため、新たに2小学校区を加えた14小学校区の地域自治組織に対して、地域総括交付金を交付します。また、伊丹小学校区の5つの共同利用施設等を集約し、新たに市営若松団地跡地に整備する地域拠点施設について、令和6年度の供用開始を目指し、実施設計を行います。
2025年大阪・関西万博を契機とした兵庫県への誘客促進事業との連携や、阪神間日本遺産推進協議会の構成市と実施するイベント等により、「清酒発祥の地 伊丹」を伝承する日本遺産の認知度向上を図ります。
市立伊丹ミュージアムと伊丹市昆虫館をデジタルミュージアム化し、オンラインでの鑑賞や学習を可能とすることにより、歴史・美術・俳諧・自然など本市の資源を市内外に発信します。
地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的に、新たに構えた事務所の賃借料等の一部補助により市内での創業を支援します。また、企業立地支援条例に基づき、立地奨励金などを交付することにより、本市への事業所の新設・拡充を支援します。

大綱5 環境・都市基盤

次に、大綱の5つ目、「環境・都市基盤」です。
脱炭素社会に向けた取り組みとして、公用車の計画的な電気自動車への更新、電気バスの本格導入に向けた実証実験、再エネ設備導入ポテンシャル調査に基づく公共施設への太陽光パネルの設置を進めます。また、市と市民や事業者が一体となった取り組みとして、引き続き、太陽光発電設備等の共同購入支援事業や再生可能エネルギー電力の共同調達支援事業を実施します。
ごみ減量化の推進に向け、市内飲食店と連携し、食品ロス削減の取り組みの普及啓発を行います。
昆陽池公園の多目的広場トイレを、誰もが使いやすく、景観と調和し、環境にもやさしいトイレとして更新するための実施設計を行います。
市営住宅等整備計画に基づき、単身高齢者の住宅確保に向け、玉田団地の2棟において住戸タイプの小型化工事のための実施設計を行います。また、荻野、天神川の2団地6棟の耐震補強工事を実施します。
安全・安心な歩行空間を確保するため、市道中央天津線などへの点字ブロックの敷設や、街路樹管理計画に基づき、市道桑津口酒井線外2路線の歩道再整備を実施します。
橋梁等の安全性を確保するため、伊丹市道路インフラ長寿命化修繕計画に基づき、有岡大橋等の補修・耐震工事を実施します。

大綱6 参画と協働・行政経営

最後に、大綱の6つ目、「参画と協働・行政経営」です。
庁外各公共施設の受付窓口に、クレジットカードや電子マネーなど多様な決済手段に対応できる決済用端末を導入し、利便性を高めます。
地域福祉活動や学習を支援するため、ボランティア活動の拠点等となる福祉施設や、市民の学習の場となる公共施設内の学習室等に公衆Wi-Fiを整備します。
全庁的な電子書面による契約の導入に向けた検討の一環として、入札案件の一部から電子契約の試験運用を行います。
庁内のデジタル人材育成の取り組みとして、専門的知見を持つ外部人材によるデジタルマインドの醸成や、ITパスポートなどの情報処理系資格の取得支援に取り組みます。
第6次伊丹市総合計画後期実施計画の策定にあたり、市政における政策的課題の把握と、これまでの施策の効果検証を行うために、満18歳以上の市民を対象に市政に関する満足度等の市民意識調査を実施します。

5.予算概要

次に、令和5年度歳入歳出予算案の概要について、ご説明いたします。
令和5年度当初予算の編成に当たっては、社会保障関係経費の増加に加え、エネルギー価格の高騰や物価高騰による光熱費をはじめとした物件費の増加を見込むなか、市民の皆さまの命と暮らしを守り、子どもを安心して育てることができるまちを目指すために、子育て施策を充実させるよう重点的に予算を配分いたしました。
その結果、一般会計は総額が828億円で、前年度当初予算に比べ6億円、率にして0.7%の減少となっております。
主な歳入歳出予算の状況について概算で申し上げますと、歳入の根幹をなす市税収入は、給与収入の伸びを見込んだことによる個人市民税の増収や、家屋の新増築による固定資産税・都市計画税の増収が見込まれることなどから、市税全体では、前年度に比べ7億7千万円、率にして2.5%増の322億6千万円となりました。
繰入金は、公債管理基金を活用して市債の繰り上げ償還を実施することなどから、前年度に比べ10億6千万円、率にして97.4%増の21億6千万円となりました。
市債は、新庁舎整備事業や新保健センター等複合化施設整備事業の進捗により普通建設事業が減少することや、臨時財政対策債が減少することなどから、前年度に比べ36億2千万円、率にして47.4%減の40億1千万円となりました。
歳出では、扶助費が、中学生までの通院、入院に係る医療費を完全無償化することや高校生の入院費を無償化することにより、こども医療費が増加することに加え、第2子の保育料無償化に伴う施設型給付費が増加することなどから、前年度に比べ12億4千万円、率にして4.7%増の274億6千万円となりました。
物件費は、エネルギー価格の高騰による光熱費の増などにより、前年度に比べ7億4千万円、率にして7.1%増の110億4千万円となりました。
補助費等は、地域医療体制の中核となる統合新病院の整備を進めるため、病院事業会計への補助が増加することなどから、前年度に比べ6億3千万円、率にして7.6%増の89億4千万円となりました。
特別会計は、6会計総額で384億9千万円となり、前年度に比べ11億9千万円、率にして3.2%の増となりました。これは主に介護保険事業において、保険給付費が増加したことによるものです。
また、病院事業会計をはじめとする6つの公営企業会計の総額は711億1千万円となり、前年度に比べ134億9千万円、率にして23.4%の増となりました。
次に、主な財政指標について申し上げますと、実質公債費比率は5.1%となり、前年度より0.1ポイントの増となりました。また、将来負担比率は公債費充当可能財源等が将来負担額を上回るため、発生いたしません。なお、新庁舎や統合新病院整備事業の進捗に伴い、今後、実質公債費比率及び将来負担比率は増加することを見込んでおりますが、いずれも早期健全化基準を下回る見込みです。
市の貯金である財政調整基金は、土地売払収入6千万円を積み立てる一方で、幼児教育推進計画に基づく関連施策の実施のために1億2千万円を取り崩すことなどから、残高は65億円となりました。
今後とも、歳入・歳出両面における改革を進め、将来を見据えた持続可能な行財政運営の実現に努めてまいります。
以上、令和5年度の市政運営の基本方針並びに予算案の諸事業について申し上げました。議員各位をはじめ、市民の皆さまにおかれましては、市政運営に、より一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。