令和4年度(2022年度) 施政方針

更新日:2022年03月01日

令和4年度施政方針演説

藤原保幸市長は、令和4年2月24日、令和4年第1回市議会定例会で、令和4年度の施政方針を表明しました。

施政方針は次のとおりです。

目次

「未来へつなぐまちづくり 」 の実現に向けて

はじめに

1.「未来へつなぐまちづくり」の実現に向けて

2.国内外の情勢認識

3.課題認識と市政運営の基本方針

(1)安全・安心のまちづくり

(2)未来を担う人づくり

(3)デジタル改革・グリーン社会の実現

4.令和4年度の取り組み

5.予算概要

令和4年度各会計予算及び各議案の提案に際し、市政運営の基本方針並びに予算案の諸事業について、所信の一端と施策の大綱を申し上げます。

はじめに(新型コロナへの対応と決意)

令和元年12月に、世界で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、2年あまりが経過しました。振り返りますと、長期にわたる緊急事態措置やまん延防止等重点措置により、外出自粛や店舗等への休業要請、時短要請が繰り返し行われるなど、市民生活や事業活動に多大な影響を及ぼすこととなりました。市民や事業者の皆さまには、今もなお、こうした感染拡大防止の取り組みにご協力いただいていることに心から感謝を申し上げる次第です。
令和3年度は、新型コロナワクチンの接種など、感染拡大防止対策をはじめ、生活困窮者や事業者への支援金給付、プレミアム付き商品券の発行など個人消費の喚起による市内経済の活性化、さらには、未来を担う子どもたちの学びの継続を確保するICT教育環境の整備や不登校児童・生徒への支援強化など、時機を逸することなく、補正予算を編成し必要な施策を推進してきました。
目下のところ国内の感染症の状況は、新たなオミクロン株による新規感染者数の爆発的な増加で、収束の見通しは不透明な状況です。兵庫県の1日あたりの新規感染者数はピークを越えて減少に転じていますが、医療機関や保健所業務等の負荷は依然として高い状況が続いており、1月27日から適用された「まん延防止等重点措置」の期間延長に伴い、社会経済活動にも影響を及ぼしています。
本市においては、3回目のワクチン接種について、伊丹市医師会との連携・協力のもと、国の前倒し方針に基づき、昨年12月下旬から高齢者施設等での接種をはじめ、1月下旬より集団接種、2月からは個別接種も開始したことで、2月21日現在、約3万5千人の接種が完了しました。3月には、集団接種会場において平日夜間の時間帯も開設し、接種機会の拡充を進めることとしています。
市民や事業者の皆さまが安心して日々の暮らしを営み、事業活動が継続できるよう、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を最優先事項として、国や県、関係機関等と連携し、今できる最善の取り組みを迅速かつ的確に実施してまいりますので、議員各位をはじめ市民の皆さまのお力添えをお願い申し上げます。
 

1.「未来へつなぐまちづくり」の実現に向けて

(日本の人口動態の変化)

「東京都の人口、26年ぶりに減少に転じる」
先日、東京都の令和3年の推計人口が発表され、これまで長期にわたって続いてきた人口の東京一極集中に変化の兆しが表れました。期せずして、コロナ禍のリモートワークや、都心の密を避けた地方移住、副業、兼業を含む柔軟で多様な働き方などが促進されたことは、ひとつの社会潮流として注目すべき内容と受け止めています。
「我が国の少子化の進行、人口減少は深刻さを増している」
令和3年6月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」において、国は、将来の人口展望に対する強い危機感をこのように表現しました。
厚生労働省が昨年9月に発表した「令和2年人口動態統計(確定数)」によりますと、出生数は前年比2.8%減少の84万835人と過去最低を更新し、自然増減数も14年連続の減少となりました。令和2年の妊娠届出数、婚姻数では前年比でそれぞれ4.8%、12.3%と大幅な減少となり、令和3年の出生数の推計を81万人程度と過去最低をさらに更新すると見込む民間機関もあるなど、コロナ禍においてさらなる少子化の加速が懸念されます。

(伊丹市の人口)

昨年11月、令和2年国勢調査に基づく人口等基本集計結果の確報値が総務省より公表され、本市の人口は19万8,138人と、5年前の前回調査時から1,255人の増加となりました。日本全体では82.5%の市町村が減少、また、兵庫県内でも41市町中、増加は本市を含む5市のみであり、「住みたい、住み続けたいまち」を目指し、これまで議員各位や市民の皆さまとともに進めてまいりました、まちづくりの成果が表れているものと考えます。
しかしながら足元の令和4年2月1日現在の推計人口は、令和2年10月1日時点と比べ701人の減少となり、令和2年の調査時点で人口増となった県内5市においても、本市と同様に減少、あるいは増加幅の縮小傾向が見られます。
少子高齢化が確実に進行し、日本全体の人口減少が加速化する状況下においても、市民の皆さまとともに築き上げてきた本市の魅力をさらに磨き上げることで、これからも「選ばれるまち」を目指すことが重要です。

(これからの市政運営の決意)

私たちは、少子高齢化や人口減少、頻発する自然災害など、複雑化・多様化する行政課題に直面しています。
ICTの進展によるデジタル・トランスフォーメーションや気候変動問題へ対応したグリーン社会の実現は、あらゆる課題の解決とコロナ後に求められる日本の成長の原動力として、その取り組みの加速化が図られようとしています。
こうした時代の変化をチャンスと捉え、持続可能な伊丹のまちづくりを進めるべく、「攻め」の姿勢で進取果敢に取り組んでまいります。
一方で、こうした急速に変化する時代においても、変わらないもの、次世代に引き継いで「守る」べき大切なものがあります。それは、先人の築いた歴史や文化、豊かな自然、人と人とのつながりに支えられる、本市の力強い「市民力」や誇り高い「地域力」といった財産です。
「攻めるべきは攻め、守るべきは守る」
令和4年度は、第6次総合計画の2年目として、「人の絆 まちの輝き 未来へつなぐ 伊丹」の実現に向けた革新の年となるよう、リーダーシップを発揮して取り組んでまいります。

2.国内外の情勢認識

IMF(国際通貨基金)が発表した最新の「世界経済見通し」によると、2021年のGDP実質成長率は、新型コロナウイルス感染症の影響により、大きく落ち込んだ2020年から回復することが見込まれるものの、パンデミックの長期化やエネルギー価格上昇等による広範囲のインフレ、中国経済の減速などにより、2022年から2023年にかけて景気回復の停滞が予測されています。
国内経済に目を向けると、内閣府が発表した2022年度の経済見通しでは、経済対策を迅速かつ着実に実施すること等により、実質GDP成長率を3.2%程度と見込む一方、感染症による内外経済への影響や原材料価格の動向による下振れリスク等の影響を注視する必要があるとされています。
また、世界的な需要の急拡大と供給体制のひっ迫から生じる半導体不足や、海外都市の感染拡大等に伴うサプライチェーンへの影響、世界的なエネルギー需要の高まりや産油国間の協調減産による原油や天然ガスなどの資源価格の高騰は、私たちの暮らしや経済活動、公共事業等へも大きく影響を及ぼしています。
昨年11月に開催された、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、「COP26」において、岸田首相は、全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけるとともに、第207回国会における所信表明演説では、環境施策を我が国の重要施策の一つと位置づけ、大胆に取り組んでいく決意を表明しました。
こうした情勢を踏まえ、岸田内閣では、「デジタル」「気候変動」「経済安全保障」「科学技術・イノベーション」を重点とする成長戦略を掲げ、社会課題の解決に向けた取り組みを推進しようとしています。
市政運営においては、こうした国内外の社会経済情勢や政策動向を十分注視し、機動的に対応してまいります。

3.課題認識と市政運営の基本方針

令和4年度の市政運営にあたりましては、「安全・安心のまちづくり」「未来を担う人づくり」「デジタル改革・グリーン社会の実現」を柱とした各施策を積極的に推進してまいります。

(1)安全・安心のまちづくり

今から27年前、当時、兵庫県職員として阪神淡路大震災からの復旧・復興に奔走した日々の記憶は、今もなお私の中で風化することはありません。震災で得た経験と教訓から、市長就任以来、一貫して「安全・安心のまちづくり」を市政運営の一丁目一番地に掲げ、市民の皆さまの生命や財産を守るため、公共施設の耐震化や防災拠点施設の整備、災害発生時の支援体制の構築など、防災・減災対策を進めるとともに、安全・安心見守りネットワークの整備など、地域防犯対策にも積極的に取り組んできました。

(新庁舎整備)

本年11月、免震構造を採用し、災害時の防災拠点となる市役所新庁舎が、いよいよオープンします。
近年、激甚化・頻発化する豪雨災害や、今後30年以内に発生する確率が高いとされる南海トラフ地震への備えなど、引き続き災害に強い安全・安心なまちづくりに向け、歩みを進めてまいります。

(地域医療体制整備)

高度急性期医療を担う基幹病院としてその役割を果たす統合新病院は、令和7年度の開院を目指し、本年4月より本体工事に着手します。脳卒中や心筋梗塞等、症状が重く迅速な治療が必要な患者を、24時間365日の受け入れを可能とする救急医療体制を整備するとともに、感染症流行下においても通常の診療に加え、感染症患者の治療が可能となるよう、感染症対応手術室や陰圧切り替え可能な病室を整備するなど、機動的に対応できる地域の基幹病院としての機能を発揮します。
兵庫県地域医療構想では、回復期病床の確保も重要な課題と位置付けられていることから、回復期機能を有する民間医療機関が誘致できるよう、昨年8月、公立学校共済組合と近畿中央病院跡地の活用に関する覚書を締結しました。
引き続き関係機関と連携・協議を進めながら、市民の皆さまが住み慣れた地域で必要な医療を受けることができ、いつまでも健やかに生き生きと暮らせるまちの実現を目指してまいります。

(2)未来を担う人づくり

コロナ禍においては、感染症対策に神経を尖らせながらの学校生活や、急速に進むICT教育への適応など、子どもたちは大きな社会の変化に対応しつつ、日々、懸命に学び、遊び、成長する姿を見せてくれています。
今まさに、私の信条である「まちづくりは人づくりから」という見地から、本市の未来を担う子どもたちの健全な成長を、我々大人がしっかりと支え育んでいかなければなりません。

(幼児教育・学校教育の充実)

私は、これまでも子育て支援や教育施策を重視し、幼児期の教育こそ重要との考えから、国に先駆けた幼児教育の無償化や、公私の区別なく幼児教育の推進を担う幼児教育センターの設置、保育ニーズの増加に対応した保育所待機児童対策などに取り組んできました。また、中学生の心身の健康と充実した学校生活に配慮した完全給食の実施や、学校園、保育所の耐震化、大規模改修工事など、安全・安心な教育環境の整備を進めてきました。
さらなる幼児教育・保育の充実を目指して、引き続き民間保育所の整備や保育人材確保の支援などにより、4月当初の保育所待機児童ゼロを維持するとともに、就学前施設のICT環境の整備も進めてまいります。
学校教育においてはICT教育の推進を図るため、ICT支援員を追加配置するとともに、デジタル教材導入に向けて積極的な検討を進めます。また、教育支援センター「やまびこ」の対象学年を拡充し、スクール・ソーシャル・ワーカーを追加配置するなど、困難を抱える児童・生徒の支援体制についても強化を図ってまいります。

(こども医療費助成拡充)

本市のこども医療費助成は、これまで県の制度に上乗せをして、段階的に拡充してきました。
少子化の急速な進展や新型コロナウイルス感染症による社会生活への影響が長期化する中、子育て世帯の経済的負担を軽減し、子どもの健やかな育成に寄与することを目的として、小学1年生から中学3年生までの通院医療費の助成について、本年7月より、所得制限内において、保護者負担なしへと制度を拡充します。

(放課後児童くらぶの充実)

各小学校に設置する放課後児童くらぶは、保育を必要とする児童に遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図る場所として、重要な役割を果たしています。これまで、開設時間の延長や6年生までの受入れ拡大、希望する全ての児童を受け入れるための環境整備など、社会情勢の変化や保護者のニーズに合わせて事業の充実を図ってきました。
放課後児童くらぶを利用する保護者の子育ての負担がさらに軽減されるよう、長期休業期間中の昼食提供について、実施方法等の検討を進めてきたところです。今年の夏期休業期間中には、民間事業者による昼食提供の試行事業を行うこととし、児童の感想や保護者へのアンケート調査等による評価検証を行った上で、令和5年3月の春期休業期間中の本格実施を目指して取り組んでまいります。

(3)デジタル改革・グリーン社会の実現

(デジタル改革)

国際経営開発研究所(IMD)が発表した2021年の世界のデジタル競争力ランキングにおいて、我が国は、調査対象64カ国・地域の中で、28位となっています。一昨年の特別定額給付金をはじめとする給付事務や保健所の感染症対応などが、文書や電話を中心とした手続きであったことから、迅速かつ効率さが求められるコロナ禍の対応において、日本のデジタル化の遅れが顕在化しました。
国は、昨年9月、世界からの遅れを取り戻すべく、日本のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁を設置するとともに、12月には「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定し、「誰もが、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できるようにすること」を理念に掲げ、社会全体のデジタル化の推進をけん引しようとしています。
私は、デジタル社会の到来により、質の高いさまざまな官民サービスの提供や業務効率化、労働生産性の向上など、生活の利便性や社会のありようは、これまでの常識を覆すほど、大きく変わっていくものと確信しています。
本市が、平成28年に全国で初めて構築した、「安全・安心見守りネットワーク」は、街頭犯罪抑止や子ども、高齢者の見守りという社会的課題に対して、デジタル技術を活用し、市民と一緒に課題解決にアプローチした先駆的な取り組みの象徴であり、街頭犯罪認知件数の大幅な減少や、徘徊する高齢者を発見するなど、その成果が現れています。
また、人口減少時代を見据えた効率的、効果的な行政サービスの提供を目指し、令和元年に職員に向けて発出した「Smart Itami宣言」に基づき、AIやRPAの導入による行政事務の効率化やペーパーレスの推進、また、コロナ禍における非接触型の生活様式への対応や行政手続きのオンライン化、キャッシュレス決済の導入など、さまざまに取り組みを進めてまいりました。
本年11月に開庁する新庁舎では、ICTを活用した「スマート窓口」を導入し、窓口のデジタル化を推進してまいります。市民課をはじめ、福祉や税、子育て支援等の窓口で行っている各種手続きについて、オンラインで事前作成したQRコードやマイナンバーカードを利用して簡単に申請書が作成できるサービスを開始します。
引き続き、国等の動向を踏まえながら、デジタル技術の浸透によって市民の暮らしがより良く変化するよう、取り組みを推進してまいります。

(グリーン社会の実現)

地球温暖化対策への取り組みが世界規模で加速化する中、国は、昨年10月に地球温暖化対策計画及びエネルギー基本計画を改訂し、2030年の温室効果ガス排出量を2013年に比べて46%削減する目標を掲げ、官民挙げた取り組みを進めようとしています。
本市では、これまで公共施設の空調等の省エネルギー機器導入や、道路、公園、建物施設等の照明のLED化、公共施設への太陽光発電設備の設置、また、昨年9月には、県内初となる市役所本庁舎への再生可能エネルギー100%電力を導入するなど、温室効果ガスの排出削減に取り組んできました。
また、新庁舎のZEB Ready認証取得に続き、令和7年度に開院予定の統合新病院では、省エネ機器の選定や太陽光発電・蓄電池設備の設置等により、実施設計段階においてZEB Ready認証要件を達成しており、認証取得に向けて事業を進めていくとともに、脱炭素化に向けて、電気自動車に対応した急速充電設備を設置します。
さらに、令和3年度より実施した太陽光発電・蓄電池設備の共同購入事業では、多くの参加申し込みをいただくなど、地球環境問題への意識の高さを感じているところです。
今後、地球温暖化対策を強力に推進していくためには、職員一人一人の実践と組織的な連携が肝要です。
令和4年度は、目標達成に向けた道筋を立て、全庁横断的に取り組みを具現化していくため、総合政策部内にその指揮を執る「グリーン戦略室」を設置します。
先人が守り、築き上げてきた環境を未来へつなげていくことが、私に課せられた使命と捉え、2030年までを重要な取組期間と位置づけ、市民や事業者の皆さまと気候変動に対する問題意識を共有し、持続可能なまちづくりに向けて取り組みを進めてまいります。

4.令和4年度の取り組み

令和4年度の諸事業について、第6次総合計画の大綱に沿って、ご説明いたします。

大綱1 安全・安心

昨年6月より運用を開始したLINE防災アプリを活用し、迅速な防災情報の発信と市民との災害情報の共有化を進めます。
鈴原地区における雨水管渠敷設工事の実施設計を行うとともに、雨水整備計画を見直し、浸水対策の強化を図ります。
市民生活や企業活動を支えるライフラインである千僧浄水場の配水ポンプ耐震化工事を実施し、浄水場施設の耐震化100%を達成します。
今後の救急需要の増加に対応するため、救急隊の増隊に向けた体制整備に取り組むとともに、救急救命体制の充実を図るため、統合新病院の開院に合わせた救急ワークステーションの設置を検討します。
通学路の合同点検結果に基づき、路側帯の新設や注意喚起を促す電柱幕の設置など、ハード、ソフト両面から安全対策を実施します。
「まちなかミマモルメ」の利用促進を図るため、小学1年生等に対し無料で利用いただけるよう支援を継続します。

大綱2 育ち・学び・共生社会

保育需要の高い地域へ民間保育所を誘致するとともに、民間保育事業者の人材確保を支援する奨学金返還支援事業を開始するなど、待機児童対策を進めます。
民間保育所等における保育士の業務負担軽減を図るため、ICTを活用した業務システムの導入を支援します。
完全給食の実施に向けた厨房改修をはじめ、安全で快適な保育環境を整備するため、ひかり保育園の大規模改修工事を実施するとともに、中央保育所の改修工事に向けた実施設計を行います。
学校のタブレット端末の持ち帰り学習等へ対応するため、すべての児童くらぶで無線LANが利用できる環境を整備します。また、児童くらぶの業務効率化と利用者サービスの向上を図るため、児童の出席管理や保護者への連絡機能を有するシステムを導入します。
医療的ケアが必要な幼児・児童の健やかな成長を図るため、対象児の在籍する学校等へ看護師を派遣します。
コロナ禍において増加する不登校児童生徒に対する支援体制を強化するため、各校へ不登校対策支援員を配置します。
ICT教育推進のため、ICT支援員を増員し、教員をサポートするとともに、児童生徒1人1人が個々に応じた学習課題に取り組める環境を整備するため、デジタル教材の導入に向けた検討を進めます。
今年、開館10周年を迎える図書館「ことば蔵」の記念事業を実施し、市民利用の増加や、運営への市民参画の促進に向け、ことば蔵の魅力を発信します。
男女共同参画の推進並びにDV防止対策に係る施策を一体的に推進するため、男女共同参画課を設置します。

大綱3 健康・医療・福祉

高齢者のフレイルや認知機能低下の早期発見につなげるため、身近な商店街や公共施設などでフレイルチェックを実施するとともに、支援が必要な高齢者に対する保健指導や、地域包括支援センター等と連携した見守りを実施します。
高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域での生活が継続できるよう、地域密着型サービスの介護施設整備に対する補助を実施します。
「市民の健やかな生活を支え、あらゆる世代に寄り添える複合施設」をコンセプトとする新保健センターについて、本年11月のオープンに向けた整備を進めます。
施設を安全・快適にご利用いただけるよう、サンシティホール及び障害者デイサービスセンターの大規模改修工事を実施します。

大綱4 市民力・にぎわい・活力

すずはら幼稚園跡地に整備する地域拠点施設「(仮称)伊丹市鈴原交流センター」について、令和5年度の供用開始を目指し、実施設計及び整備工事を行います。また、地域コミュニティの基盤を強化し、参画と協働による地域づくりを進めるため、鈴原地区の地域ビジョン策定を支援します。
令和2年に認定された日本遺産の認知度向上とブランド化を図るため、阪神間日本遺産推進協議会と連携し、PR活動に取り組みます。
本年4月に、歴史・文化・芸術の発信拠点となる市立伊丹ミュージアムがリニューアルオープンします。オープニングイベントを開催するとともに、市内外の多くの方々に訪れていただけるよう、魅力ある企画展示やイベントを開催します。また、教育委員会所管の文化財行政を市長部局へ移管し、歴史・文化的資産の保存・継承と、活用を通じた観光振興を一体的に推進します。
市内観光関連産業の幅広い消費喚起と、日本遺産をはじめとする本市の観光資源をPRするため、国が実施するGo Toトラベル事業に合わせて、市内宿泊施設の利用者に対する宿泊費用等の補助を行います。
若者の市内定住並びに中小企業の人材確保を促進するため、奨学金を返還しながら市内企業で働く市民に対して、返済費用にかかる補助制度を導入します。
地域経済の活性化及び雇用の創出を図るため、市内で創業する事業者に対し、賃借料などの一部を補助します。

大綱5 環境・都市基盤

公用車及び市営バスへの電動車の導入や、新保健センター等の公共施設への太陽光パネルの設置、学校等の空調設備の省エネ改修等により、温室効果ガス排出量の削減を進めます。
また、地域における脱炭素の取り組みを推進するため、公共施設等の再生可能エネルギー設備導入のポテンシャル調査を実施するとともに、地域電源を有効活用するため、電力の地産地消に関する調査を行います。
市民や来訪者の皆さまの利用が多い、JR伊丹駅西側の公衆トイレについて、安心して快適に利用いただけるよう、再整備を実施します。
下河原緑地展望デッキの改修工事を実施するとともに、若菱公園など都市公園の遊具等の再整備を行います。
空き家の解消と若年・子育て世帯などの市内定住促進のため、空き家を購入し居住される世帯に対し、改修費用の一部を補助します。
市営住宅に入居される高齢者の住環境向上のため、1階住戸のバリアフリー工事を実施するとともに、玉田団地内の2棟において、エレベーター設置工事を行います。また、市営住宅整備計画に基づき、山道、荻野、天神川の3団地、6棟の耐震補強並びに長寿命化改修工事を実施します。
安全・安心な通行空間を確保するため、伊丹市街路樹管理計画に基づき、市道桑津口酒井線の歩道再整備を実施します。
市内交通の円滑化や災害時における防災機能の強化を図るため、都市計画道路山田伊丹線昆陽泉町工区西側より、新設道路及び電線共同溝整備工事を進めます。
道路橋等の安全性を確保するため、伊丹市道路インフラ長寿命化修繕計画に基づき、神津大橋等の補修・耐震工事を実施します。
安全で快適な道路を計画的に維持するため、AIを活用した路面性状調査を実施します。

大綱6 参画と協働・行政経営

市役所本庁の窓口収納における、支払い方法の選択肢を広げ、市民の利便性の向上と事務負担の軽減を図るため、多様な決済手段に対応した専用端末を導入し、キャッシュレス化を推進します。
来庁者のオンライン行政手続き等、利便性向上と災害発生時の情報収集手段の提供のため、新庁舎1階及び2階フロアに公衆無線LANを整備します。また、来庁者に対する窓口案内や市政情報等を発信するため、大型ディスプレイ等を活用したデジタルサイネージを導入します。
マイナンバーカードの普及促進を図るため、休日開庁や庁外施設での出張申請受付を実施するとともに、窓口での効率的なカード交付手続きを行うため、交付管理・予約システムを導入します。
マイナンバーカードを活用した転出・転入手続きのワンストップ化により、市民の負担軽減や事務の効率化を図るため、住民基本台帳システムの改修を行います。

5.予算概要

次に、令和4年度歳入歳出予算案の概要について、ご説明いたします。
一般会計の総額は834億円で、前年度当初予算に比べ5億円、率にして0.6%の減となりました。
主な歳入歳出予算等の状況について概算で申し上げますと、まず、歳入の中心を占める市税収入は、コロナ禍における経済情勢の悪化を見込んだ前年度からの反動増等による個人市民税及び法人市民税の増収や、家屋の新増築に伴う固定資産税・都市計画税の増収、また、新型コロナウイルス感染症に係る中小事業者等の家屋及び償却資産に対する課税標準の特例の終了等に伴う増収などを見込んだことで、市税全体では315億円となり、前年度に比べ20億円、率にして6.7%の増となりました。
また、市債は、国の地方財政計画を踏まえ、臨時財政対策債が大幅に減少することに加え、新庁舎や認定こども園整備等の普通建設事業が減少することなどから、前年度に比べ49億円、率にして39.0%減と見込みました。
歳出では、扶助費が、私立保育所等の定員数増加等による保育所保育委託料や、利用者数の増加等による障害者・児福祉サービス費の増などにより、前年度に比べ6億3千万円、率にして2.5%増の、262億1千万円となり、過去最高額を更新すると見込んでいます。
補助費等は、保育所等処遇改善臨時特例事業補助金に加え、住民税非課税世帯等臨時特別給付金や「Go Toキャンペーン」事業費補助金等の増加により、前年度に比べ1億5千万円、率にして1.8%増の、83億1千万円となりました。
特別会計は、6会計総額で、373億1千万円となり、前年度に比べ4億8千万円、率にして1.3%の増となりました。これは主に介護保険事業において、保険給付費が増加したことなどによるものです。また、病院事業会計をはじめとする、6つの公営企業会計の総額は、576億2千万円となり、前年度に比べ39億1千万円、率にして7.3%の増となりました。
次に、主な財政指標について申し上げます。実質公債費比率は、5.0%となり、前年度より0.1ポイント減少いたしました。また、将来負担比率は、公債費充当可能財源等が将来負担額を上回るため、発生いたしません。
市の貯金である財政調整基金は、幼児教育推進計画に基づく関連施策の実施のために1億円を取り崩す一方で、土地売払収入等4億1千万円を積立てることなどから、残高は58億円となりました。
今後とも、歳入・歳出両面における改革を進め、将来を見据えた持続可能な行財政運営の実現に努めてまいります。
以上、令和4年度の市政運営の基本方針並びに予算案の諸事業について申し上げました。議員各位をはじめ、市民の皆さまにおかれましては、市政運営に、より一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。