柏木古墳

更新日:2021年05月25日

阪急伊丹線の西側に,周囲を民家に取り囲まれた円墳状の塚地があります。規模は,直径38メートル・高さ6メートルで,全体が墓地となって一部が崩れ,墳頂部は平らに削り取られています。この塚地は御願塚古墳の南方760メートルにあたり,伊丹市南郊から尼崎市にかけて広がる猪名野古墳群のただ中に位置することから,以前から古墳と考えられていました。

墳丘の形態及び規模や主体部の構造については不明でしたが,墳頂部の縁辺で円筒埴輪の破片が見つかり,古墳時代中期の古墳であることがわかりました。規模が御願塚古墳の後円部の規模に相応することから,御願塚古墳級の古墳として,猪名野古墳群の1基をなしていたものと考えられてきました。

なお,墓地の南側から西側をめぐっている道は塚口(尼崎市)と有馬温泉を結ぶ旧有馬道です。

柏木古墳の写真

柏木古墳の発掘調査

平成7年の阪神・淡路大震災後,古墳の南西側に共同住宅が建設されることになり,同年8月21日から9月15日まで発掘調査がおこなわれました。この調査は震災復興事業として協定にもとづき兵庫県教育委員会埋蔵文化財調査事務所が担当しました。

その結果,幅約11メートルの周濠を検出しました。上部は削平され,残存していたのは40センチ程度でした。また埴輪片も採集され,この墳丘が間違いなく古墳であることがわかりました。

出土した埴輪はいずれも小片ですが,円筒埴輪のほか,家形・盾形・蓋形などの形象埴輪があります。土器としては13世紀前半の瓦質土器が出土しています。

以上の調査から,柏木古墳が直径約55メートル以上と御願塚古墳以上の規模をもつ,5世紀中ごろの古墳であることがわかりましたが,まだ円墳であるのか前方後円墳であるのかはわかっていません。

検出された周壕(白線の内側)

検出された周壕(白線の内側)

柏木古墳の埴輪

柏木古墳の埴輪

所在地

伊丹市柏木町1丁目

注意:墓地内への立ち入りはご遠慮ください。

交通

阪急電鉄稲野駅下車,南西へ約650メートル

JR伊丹駅前・阪急伊丹駅前5番乗り場より市バス37系統堀池口経由塚口行きにて稲野下車,南東へ約450メートル

参考文献

  • 「柏木古墳」『伊丹の文化財』伊丹市教育委員会、平成7年
  • 「柏木古墳」『伊丹市史』第4巻、伊丹市役所、昭和43年
  • 柏原正民「柏木古墳第1次調査」伊丹市埋蔵文化財調査報告書第23集『伊丹市埋蔵文化財調査報告書 震災復旧・復興事業に伴う発掘調査』伊丹市教育委員会、1999年

地図情報

この記事に関する
お問い合わせ先

都市活力部まち資源室文化振興課(文化財担当)
〒664-8503伊丹市千僧1-1(市役所4階)
電話番号072-784-8090 ファクス072-784-8048

このページの感想をお聞かせください
このページの内容は分かりやすかったですか。
このページは見つけやすかったですか。
このページで分かりにくい点等ございましたら、ご記入ください