令和6年度長崎県大村市・長崎県佐世保市
1.視察出張委員
委員長 永松 敏彦 副委員長 山薗 有理
委 員 加藤 光博 委 員 北原 速男
〃 高塚 伴子 〃 齊藤 真治
〃 大津留 求 〃 川井田清香
〃 土井 秀勝 〃 原 直輝
2.視 察 先 長崎県大村市・長崎県佐世保市
3.実 施 日 令和6年7月9日(火曜日)~10日(水曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎7月9日 15:00~ 長崎県大村市
<ボートレース事業及び施設の概要について>
初めに、大村市議会副議長より歓迎のあいさつを受けた後、永松委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、大村市モーターボート競走事業管理者より歓迎のあいさつを受けた後、大村市ボートレース企業局経営総務課長・企画課長・施設管理課長から説明を受け、質疑応答がなされた後、施設を見学した。最後に、山薗副委員長よりお礼のあいさつがなされた。
<事業の概要>
(1)年間総売上金額、一般会計繰出金の推移
【令和2(2020)年度】
全開催日(198日間)をナイターレースにて実施。
・年間総売上金額(全開催日) 約1,592億円
(内訳)本場 約20億円、専用場外販売所 約33億円、
電話・インターネット投票 約1,301億円、協力場外販売所 約238億円
・一般会計繰出金 40億円
【令和3(2021)年度】
全開催日(198日間)のうち、187日間をナイターレースで、11日間をミッドナイトレースで実施。
・年間総売上金額(全開催日) 約1,759億円
(内訳)本場 約27億円、専用場外販売所 約32億円、
電話・インターネット投票 約1,454億円、協力場外販売所 約246億円
・年間総売上金額(ミッドナイトレース開催日) 約126.7億円
(内訳)本場 約0.4億円、専用場外販売所 約1.2億円、
電話・インターネット投票 約120.8億円、協力場外販売所 約4.3億円
・一般会計繰出金 80億円
【令和4(2022)年度】
全開催日(198日間)のうち、186日間をナイターレースで、12日間をミッドナイトレースで実施。
・年間総売上金額(全開催日) 約1,807億円
(内訳)本場 約30億円、専用場外販売所 約24億円、
電話・インターネット投票 約1,498億円、協力場外販売所 約255億円
・年間総売上金額(ミッドナイトレース開催日) 約127.1億円
(内訳)本場 約0.3億円、専用場外販売所 約1億円、
電話・インターネット投票 約121億円、協力場外販売所 約4.8億円
・一般会計繰出金 110億円
【令和5(2023)年度】
全開催日(200日間)のうち、172日間をナイターレースで、28日間をミッドナイトレースで実施。
・年間総売上金額(全開催日) 約1,747億円
(内訳)本場 約24億円、専用場外販売所 約21億円、
電話・インターネット投票 約1,487億円、協力場外販売所 約215億円
・年間総売上金額(ミッドナイトレース開催日) 約338.2億円
(内訳)本場 約1.1億円、専用場外販売所 約2億円、
電話・インターネット投票 約327.4億円、協力場外販売所 約7.7億円
・一般会計繰出金 150億円
※ナイターレースは、午後9時までに終了するもので、ミッドナイトレースは、午後9時を超えて実施されるものである。
(2)本場への来場者数の推移
平成4年度の74万1千人から徐々に減少し、平成30年度は34万3千人となり、令和元年度は27万人、コロナ禍で減少した後、令和4年度は20万5千人、令和5年度は21万人となっている。
1日あたりの来場者数については、平成4年度4,117人、平成30年度1,786人、令和元年度1,508人、令和4年度1,090人、令和5年度1,050人となっている。
(3)レース開催時刻の延長や夜間開催日を増やすための取組
ナイターレース(平成30年度から実施)、ミッドナイトレース(令和3年度から実施)の実施にあたっては、ボートレース場周辺7町内会長とボートレース企業局職員で構成する「ボートレース大村周辺対策連絡協議会」で適宜状況説明を行い、各町内会長から同意書を受け取った上で実施している。また、騒音規制に対応するため、令和4年度、ボートレース場に一番近い町内会側の方に防音壁を設置した。
(4)イベント等の企画・運営
・これまでに開催したイベント等の概要
レース開催日の土・日・祝日及び夏休み、冬休み等の長期休暇期間中も子ども向け長期イベントを開催している。また、レース非開催日には、ボートレース場を無料開放し、「大村市民感謝祭」等を開催し、ボートレースに馴染みが無い方への来場促進を図っている。さらに、レース非開催日に市内の各団体にイベントホール等の施設を開放し、講演会やシンポジウム等に活用してもらい、参加者がこれらを機にボートレース観戦へ足を運んでもらえるようにしている。
・集客数を増やすための情報発信の手法
県内民放にボートレース大村のイメージCM(選手を起用したものやインパクトがあるもの)を放送することで、来場促進を図っている。
(5)ボートレース事業収益基金の活用状況
公共施設等の整備に活用するため、平成30年度にボートレース事業収益基金を設置した。同基金を活用して整備した施設には、同基金を活用していることがわかるよう、目印となる看板「ターンマーク坊や」を設置し、広報を行っている。
令和5年度においては、約45億円の事業収益金を鈴田小学校(校舎大規模改造)や放(ほう)虎(こ)原(ばる)小学校(体育館長寿命化改良)、郡(こおり)中学校(武道場大規模改造)の整備に活用した。令和6年度は、放(ほう)虎(こ)原(ばる)小学校(校舎長寿命化改良)、福重小学校(校舎改築)、西大村中学校(体育館改築)の整備に取り組んでいる。
また、市内各地区からの市道・農道等の改修に関する要望や、PTA連合会からの通学路上にある危険箇所の改修に関する要望への対応にも取り組んでいる。主な例としては、三浦地区、大村地区、萱(かや)瀬(ぜ)地区における転落防止柵の設置や福重地区における側溝蓋の設置、西大村地区、鈴田地区におけるカラー舗装、竹松地区における路面標示、松原地区におけるポストコーンの設置が挙げられる。
<施設概要(近年の施設整備状況)>
【令和4年度】
1 別館建設工事(建築、電気設備、機械設備) 約7億円
2 コミュニティパーク化活性化事業 約6.9億円(振興会助成2億円を含む)
3 防風施設整備工事 約6.5億円
4 防音施設整備工事 約3.4億円
5 パーク化活性化事業 約1.8億円(振興会助成約0.9億円を含む)
6 競技棟周辺整備工事 約1.4億円
7 大時計揚降装置更新工事 約1億円
8 監視カメラ設備更新工事 約0.9億円
9 スタンド棟テラス建設工事 約0.7億円
10 照明設備LED化工事 約0.7億円
11 エスカレーター増設工事 約0.7億円
【令和5年度】
1 太陽光発電設備実施設計及び設置工事(令和5~6年度 債務負担行為) 9億円
(振興会助成 最大2億円を含む)
2 防音施設整備工事 約6.3億円
【令和6年度】
対岸防風施設整備工事(令和6~7年度 債務負担行為) 25億円
<質疑応答>
(問)年度によって一般会計繰出金の変動額が大きいが、それによって市の財政運営に大きな影響はないのか。
(答)市では、一般会計繰出金をボートレース事業収益基金に積み立てた後、その基金残高を基に、中長期的に公共施設等の整備計画を立案している状況にあるため、一般会計繰出金の変動額により、市の財政運営に対して大きな影響は与えていない。
(問)ボートレースの収益金を公共施設等の整備に活用することに対して、市民からの反対意見を受けることはあるのか。
(答)反対意見は、一定数存在すると認識している。ボートレース事業収益基金を活用して整備した施設に設置する「ターンマーク坊や」等により、ボートレース事業の収益金が活用されている旨を広報することで地道に理解を得ていくしかないと考えている。
(問)ボートレース事業の収益金により健全な財政運営ができていることが、市の人口が微増傾向にあることへの大きな要因であるのか。
(答)人口微増の傾向については様々な要因が考えられるため、明確な回答はできないが、市では、県内の市町村に先立って第2子に対する保育料無償化を実施し、またそれを継続できていることから、収益金によって健全な財政運営ができていることと部分的な結びつきがあると認識している。
(問)ナイターレース、ミッドナイトレースの実施における配慮や問題点はあったのか。
(答)周辺地域に対する騒音対策を初め、場内に設置している照明に関しての配慮を行った。特に照明においては、近隣に長崎空港が位置していることから、航空機の操縦に影響が出ないようにするための配慮を行った。
(問)ボートレース場周辺の7町内会に対して、他に配慮している事柄はあるのか。
(答)各町内会の活動の活性化を目的に交付金を支給している。
(問)講座の実施等、市民を対象としたボートレース場利用促進への取組はあるのか。
(答)5名以上のグループかつ4レース以上の観戦を条件に、観戦ツアーを実施している。観戦ツアーでは、昼食や舟券の購入が可能なチケットの配布や、スタッフが舟券の購入方法を説明するといった取組等が行われている。
(問)ボートレース場周辺に移住される方から要望等を受けることはあるのか。
(答)各町内会が属しているボートレース大村周辺対策連絡協議会にて、要望等を受けている。
(問)ギャンブル依存症対策はどのように実施しているのか。
(答)ギャンブル依存症対策は全国的におおむね共通した取組となっている。全国のボートレース場全体で、ギャンブル依存症対策に関する会議体が設けられており、ギャンブル依存症予防に対する啓発事業を実施するとともに、相談窓口を設置している。
(問)ミッドナイトレースの実施による選手の疲労は大きいのか。
(答)選手の疲労は大きいと思われるが、選手への還元も大きいため頑張っていただいているものと考える。
◎7月10日 9:50~ 長崎県佐世保市
<Park-PFIを活用した公園整備について>
初めに、佐世保市議会副議長より歓迎のあいさつを受けた後、永松委員長よりお礼のあいさつがなされた。続いて、佐世保市都市整備部公園緑地課長及び担当者から説明を受け、質疑応答がなされた。最後に、山薗副委員長よりお礼のあいさつがなされた後、議場を見学した。
(1)制度導入の経緯・契約期間・施設所有権のあり方
平成23年度に佐世保市中央公園リニューアル事業の対象地域である名切(なきり)地区において、まちづくりの検討が開始され、名切地区の現状と課題について精査されたのち、平成28年度に、佐世保PPPプラットフォームが設立、平成29年1月に「名切地区まちづくり構想」が策定され、この構想の一環として佐世保市中央公園リニューアル事業を実施することとなった。
平成29年度からは、事業実施の検討にあたって、当初はPFI事業のみで進めていたところ、5月に都市公園法の改正によりPark-PFIが創設されたことで、PFIとPark-PFIを併用した事業方式を採用した。その後、各手続や事業者選定を経たのち、令和2年4月1日に事業契約の締結に至った。
契約期間は、設計・建設・工事監理期間として約2年間(令和2年4月~令和4年3月)と管理運営期間として18年間の計20年間となっている。
公園内は、市が整備費と管理運営費を負担する「特定公園施設」と市が建物躯体の整備費を負担し、民間事業者が独立採算で管理運営及び遊具を設置する「特定公園施設(屋内遊び場)」と民間事業者の負担による整備と管理運営を行う「公募対象公園施設」に分かれており、施設所有権については、「特定公園施設」の部分を市が所有し、「公募対象公園施設」の部分を民間事業者が所有する形態となっている。
(2)公園整備事業費における公・民の負担割合
PFI及びPark-PFIでは、発注者が求めるサービス水準を受注者が満たすようにすることを要件とする性能発注方式を採用しており、設計・整備等を一括して発注しているため、明確に公費と民間の負担割合を示すことが難しい。
(3)特定公園施設(公共部分)に対する公的資金の投入と収益充当の状況
特定公園施設(公共部分)に対する公的資金の投入については、整備費(総額)として9億7,242万3千円を計上しており、そのうちの約1/2は国の社会資本整備総合交付金(官民連携型賑わい拠点創出事業)を活用し、残りを一般財源としている。また、公募対象公園施設の収益充当分として、34万1千円を計上している。
(4)年間の公園管理運営費について
管理運営業務費(総額)として3億3,473万円を計上し、管理運営期間が18年間であることから、毎年1,859万6千円を計上している。
(5)交流・文化ゾーンの利用状況と民間の参画状況
来場者数10万人以上(延べ人数)の大イベント(例:JAM FESTIVAL)が年2回程度、来場者数500人~1万人の中イベント(例:夏まつり)が年6回程度、来場者数1~100人の小イベントが月2回程度実施されている。
また、民間企業の中・小イベントに対する参画状況として、年間50社から協力を受けている。
(6)自然リクリエーションゾーンの利用状況
来場者数1~100人の小イベントが年5回程度実施されている。地形的な問題もあり、大人数の集客を見込むことが難しく、主に、自然と親しむ小規模なワークショップを開催している。例として、自然観察会やSDGs FESTIVAL(交流・文化ゾーンにおいても開催)が挙げられる。
<質疑応答>
(問)契約期間満了後の管理運営はどのようになるのか。
(答)契約期間満了の3年前から協議を行い、基本的には民設民営の部分は撤去してもらうこととしている。なお、市としても保存してもらいたい財産等であれば協議の上、それらを改めて指定管理者に管理を委託する、あるいは市で直営するなどの検討を行う予定である。
(問)PFI及びPark-PFIの活用による、市の負担軽減の効果は大きいものであったか。
(答)PFIのみでの実施と比較して、Park-PFIも併せて活用することで、特定公園施設の整備費の約1/2を国からの交付金を活用して実施できたことと併せ、公募対象公園施設の収益充当分も活用できたことで、市の負担軽減は大きいものと考えている。
(問)特定公園施設の整備費における割賦払いの回数は。また、特定公園施設の整備費と公園管理運営費の決算書類上の費目は。
(答)公園管理運営費と同様、18回である。特定公園施設の整備費は公有財産購入費(利子も含む)で、公園管理運営費は、指定管理料として委託費で計上している。
(問)民間事業者(SPC)設立経費等の具体的な内容とその手続はどのようなものか。
(答)構成企業3社が出資し、事業を行うための民間事業者(SPC)設立にあたる経費であり、手続としては、法人登記を行うことや定款等を作成することである。
(問)公募対象公園施設の公募は、SPCで担っているのか。また、SPCと契約する各事業者は毎年変更されても良いのか。
(答)そのとおりである。また、SPCが各事業者を変更する際の水準を市が設けているわけではないため、可能である。
(問)PFIにおいて、BTO方式を採用したことに対して、事業者側からどのような意見が出されたのか。
(答)実際に参加表明を取下げた事業者からは、事業の採算見込が困難といった意見があった。
(問)SPCに対する市のモニタリングはどのように行っているのか。
(答)月1回の会議で実施状況の確認をしている。
(問)市とSPCが実施するサービスの方向性に乖離があった場合の対応はどのように行っているのか。
(答)月1回、四半期、年度毎の各モニタリングで、チェック項目を設けている。今年度からは具体的な数値目標を記載してもらい、達成していない場合には委託料を一部減額するといった対応を実施している。
(問)公募対象公園施設の使用料の下限額は、事業区域全体で適用されるのか。
(答)事業区域全体で適用される。
(問)公募対象公園施設の方からSPCに支払う使用料に関しては、市で把握しているのか。また、SPCから事前に公募対象公園施設の選定に関して相談を受けるのか。
(答)使用料に関しては、市で関与していない。また、どのような公募対象公園施設を入れるのかについて、SPCから事前に相談を受けることはあるが、それらに対して市が許可を行うものではないため、公募対象公園施設の選定は、SPCが独自に決定している。
(問)公園内の駐車場はどのくらい利用されているのか。
(答)立地上、中心市街地に近いこともあり、公園利用目的の使用者以外の利用もあり、稼働率は高い。
(問)屋内遊び場の利用料金は。また、どのくらいの利用者がいるのか。
(答)1時間あたり550円である。小学生以下の利用者向けの施設であるため、平日の利用は少ない。多い月では約8,000人、少ない月では約4,000~5,000人である。
(問)屋内遊び場における子育て情報発信スペースの管理はどこが担っているのか。また、スペースの一部に子育て相談スペースや子育て情報誌を置くことは行っているのか。
(答)管理は、SPCが行っている。また、子育て情報誌や掲示板等を設置し、市の情報発信を行ってもらうようにしている。
(問)自然レクリエーションゾーンのオートキャンプ場の利用状況は。
(答)他のキャンプ場と比較すると若干料金が高く、利用は少ない状況にある。
(問)市職員が、SPCに出向しているケースはあるのか。
(答)ない。
以 上
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更新日:2024年08月02日