令和7年度兵庫県立尼崎総合医療センター
1.視察出張委員
委員長 鈴木 隆広 副委員長 大津留 求
委 員 泊 照彦 委 員 竹村 和人
〃 保田 憲司 〃 鈴木久美子
〃 花田康次郎 〃 加柴 扶美
〃 前田伸一郎 〃 原 直輝
2.視 察 先 兵庫県立尼崎総合医療センター
3.実 施 日 令和7年11月6日(木曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎11月6日 14:00~ 兵庫県立尼崎総合医療センター
<高度急性期病院としての現状と課題について>
初めに、尼崎総合医療センター病院長より歓迎のあいさつを受けた後、鈴木委員長よりお礼のあいさつがなされた。
続いて、同じく尼崎総合医療センター病院長より説明を受け、質疑応答がなされたのち、施設見学を実施した。最後に、大津留副委員長よりお礼のあいさつがなされた。
<説明の概要>
(1)尼崎総合医療センターの概要
県立尼崎病院と県立塚口病院の合併により誕生した。合併の背景には、県立尼崎病院の手術件数・救急搬送件数の増加による多忙化と、県立塚口病院の施設老朽化・狭隘化等の問題があった。統合により医師確保や救急応需体制の確立を目指し、地域完結型医療を提供する方針で運営している。
運営の基本方針として、以下の5つを掲げている。
1.阪神地域中核病院としての「高度専門・救急医療」
2.患者・医療者、お互いの「納得・安全・チーム医療」
3.救急・紹介を「断らない医療」
4.住民・患者・医療者・福祉・介護・行政が全体で、1つの「地域医療」
5.医療水準向上のための「教育・臨床研究・自己研鑽」
病院の特徴として、ER型救命救急センター、小児救命救急センター、災害拠点病院、総合周産期母子医療センター、国指定がん拠点病院などの機能を持っている。稼働病床数は730床で、オペ室18室、ダヴィンチ2台体制、精神病床8床、感染症病床8床、1次から3次までの救急に対応するER型救命救急センターを運営している。屋上にはヘリポートがある。2015年の統合以降、「断らない医療」を徹底し、患者数を増やす取組を行ってきた。コロナ対応では県内の重症患者の15.4%を受け入れ、最前線で役割を果たした。
(2)人員体制と経営状況
人員体制については、医師が421名、看護師が正規1163名、非正規68名、薬剤師が正規49名、非正規10名、臨床検査技師が正規56名、非正規46名など、合計で正規1,695名、非正規803名、全職員2,498名が勤務している。
経営状況については、2017年以降は黒字転換していたが、コロナ補助金がなければ実質的には赤字であった。診療報酬の抑制により医業収益は徐々に悪化しており、赤字幅が拡大している。
(3)病床稼働率と平均在院日数
病床稼働率は病院統合後90%を超える高水準だったが、新型コロナの影響で低下し、現在もコロナ禍前までは回復していない。平均在院日数は11日から9.9日へと短縮されており、これがベッド回転率向上に寄与している一方、稼働率の回復を難しくしている要因でもある。クリニカルパスの適用率は35.7%から73.9%に向上し、これが在院日数短縮につながっている。
(4)外来医療
初診患者数は統合後に増加し、コロナ禍でいったん減少したものの、現在は以前のレベルを超えている。一方、1日当たりの外来患者数はそれほど増えていない。これは地域連携の強化により、治療後に地域のかかりつけ医に患者をお返しする流れが確立されているためである。外来診療単価は増加傾向にあり、これは外来の化学療法や日帰り手術の増加によるものである。
(5)救急・高度専門医療
手術件数はコロナ禍でいったん減少したものの、その後順調に回復している。救急車搬送件数は年間13,000件を超え、西日本でもトップクラスの受入数となっている。外来化学療法も順調に増加しており、以前は入院して行っていた治療が外来でできるようになっている。
(6)患者サポートセンターと地域連携
病院北側に患者サポートセンターを開設し、入院前の検査説明や麻酔科診察、退院調整等の入退院支援機能を全て集約して行っている。また、救急患者の増加に対応するため、「下り搬送」という形で複数の病院と連携し、尼崎総合医療センターではなくても対応可能な患者を連携先の病院に移送する取組を進めている。
(7)医師の働き方改革
救急医療を提供するためには、救急部の医師だけでなく、各診療科のバックアップ体制が必要である。そのため、多くの医師が必要となり、現在421名の医師が勤務している。理想はすべての医師がA水準(年間960時間以下の時間外労働)で収まることだが、救急関連の診療科ではB水準(年間1,860時間以下の時間外労働)となっている現状がある。2035年度末までにすべてA水準にする必要があり、これが大きな課題となっている。
<質疑応答>
(問)ハイブリッド手術室の機能は。対応はいつでも可能なのか。
(答)ハイブリッド手術室はカテーテル治療と外科手術を組み合わせた治療を行う特殊な手術室であり、大動脈弁置換術や僧帽弁形成術などの高度な治療に使用されている。基本的には24時間稼働可能であり、麻酔科医2名、看護師3名が当直している。高度な技術を持つ医師や放射線技師などの専門スタッフが必要であり、設置基準を満たすことが課題である。
(問)看護師の県立病院受験者数が多い要因は。また、リソースナースの活用、看護師の離職率、勤務体制は。
(答)実習の積極的な受入れが看護師確保の大きな要因であると考えている。リソースナースの活用は、専門看護師が7名、認定看護師が35名、特定行為修了者が10名、診療看護師はなしである。離職率は約6%と低く、子育て支援制度が充実していることが定着率の高さにつながっている。勤務体制は2交代と3交代を選べるようになっており、個人の状況に合わせて調整している。
(問)経営課題への解決策は。
(答)人件費が頭を悩ます部分であるが、県立病院全体の制約もあり、尼崎総合医療センターだけでは何ともならない部分もある。また、診療報酬請求の適正化や、患者一人一人に合わせた適切な入院期間の設定などが重要である。
(問)治療はチーム制、主治医制、もしくはミックスか。
(答)ミックスである。診療科によって異なる。全部チーム制となればよいが、特殊技能を持っている人員の都合もあり、なかなかそこまではいっていない。
(問)救急医療体制における課題は。
(答)年間13,000件以上の救急車を受け入れており、これを可能にしているのは各診療科のバックアップと救急用病床の確保である。しかし、季節変動による需要の波があり、どのレベルに合わせて病床を準備するかが課題である。また、救急対応のための人員配置は人件費がかかるため、病床が空いていると経営的には圧迫要因となる。
(問)患者サポートセンターを病院の外に設置した理由は。
(答)外来部門が当初想定の1日1,400人を超える患者で混雑しているため、サポート機能を一元化するために別棟を設置した。理想は病院と渡り廊下でつながる2階建ての建物だったが、予算の関係で離れた場所になってしまった。
(問)優秀な医師を確保する上でよい方法はあるか。
(答)大学との連携では、医師が病院で経験を積んだ後に大学に戻ることで、さらに活躍できるというメリットを示すことが重要である。また、初期研修医から専攻医として残ってもらうことも重要な人材確保の方法である。
(問)個室料金の設定についてどう考えているか。
(答)個室料金は診療報酬とは別の「真水の収入」となるため、適切に設定することで収益向上につながる一方、高額になると患者の入院期間が短くなる側面もある。個室を選択する患者には高い個室料金を頂くことになるため、それに見合ったメリットを提供することが重要であり、看護部が患者への説明を工夫している。
(問)地域の方が直接受診を希望するケースも多いと聞いているが、選定療養費を支払ってでも入院したいという方は何割程度いるか。
(答)あまりない。ほとんどが紹介による受診である。
(問)小児ドクターカーの出動状況は。
(答)1日ゼロの時もあれば、1日3件出動する日もある。平均、1日1件程度である。
(問)京都大学との連携による成果は。
(答)多くの診療科の医師が京都大学の医局から派遣されており、人事交流を通じて最先端レベルの医療を病院に取り入れることができている。また、医師のキャリアアップのために京都大学に戻って研究した後、再び病院に戻ってくる循環が医療レベル向上に役立っている。がんゲノム医療なども京都大学と連携している。
(問)兵庫県難病相談センターの窓口もされていると思うが、特定疾患の方が相談されるのか。
(答)主に神経難病の患者が相談に来られるが、他の難病についても対応している。
<視察の様子>
以 上
この記事に関するお問い合わせ先
市議会事務局
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電話番号072-783-1344 ファクス072-784-8092
更新日:2025年12月20日