令和元年度加古川中央市民病院

更新日:2021年03月31日

  1. 視察出張委員
     委員長 小西 彦治 委員 竹村 和人
     副委員長 上原 秀樹 委員 山薗 有理
     委員 花田康次郎 委員 戸田 龍起
     委員 大津留 求 委員 高塚 伴子
     委員 永松 敏彦 委員 吉井 健二
  2. 視察先 加古川中央市民病院
  3. 視察日 令和元年11月22日(金曜日)
  4. 調査事項  下記報告のとおり

<加古川市民病院・神鋼加古川病院統合・再編について>

 初めに、加古川中央市民病院財務部長のあいさつの後、小西委員長が視察を受けていただいたことに対するお礼を述べた。続いて、財務部長と加古川中央市民病院事務局長から統合・再編の概要と事前に送付した質問事項について説明がなされた後、質疑応答がなされた。

<説明の概要>
 東播磨医療圏域の構成市は、明石市・加古川市・高砂市・稲美町・播磨町の3市2町で、人口規模は70万人強であるが、明石市とそれ以外の2市2町は医療圏域的にも行政圏域的にも異なっている。
 統合再編事業の概要としては、平成22年度統合以前まで、周産期母子が強みであった加古川市民病院(405床16診療科)と循環器系が強みであった神鋼加古川病院(198床12診療科)でそれぞれ運営を行っていたが、平成23年度経営統合後からは、1法人で2つの病院を経営することとなり、加古川西市民病院(397床26診療科)と加古川東市民病院(206床14診療科)になった。平成28年7月病院統合後から、加古川中央市民病院(600床30診療科)となり、5大センター(心臓血管・消化器・周産期母子・こども・がん集学的治療)を中心とした総合的な診療センターとして運営している。
 統合再編事業の背景としては、1.旧加古川市民病院の内科医師の減少に伴い、総合病院としての機能が著しく低下し、経営や市民生活に大きな影響を及ぼすこととなった。2.東播磨医療圏域の中核病院6病院中5病院が神戸大学医局から医師派遣を受けており、これまでと同様に派遣することが困難であるとの大学医局の考えの下、5病院での機能分担と統合再編の検討が指示された。また、旧神鋼加古川病院は、運営規模の拡大や施設の老朽化による建て替え課題があった。3.神戸大学医局の同一地域での中規模総合病院の統合再編、加古川市の急性期総合病院としての医療提供体制の維持、神戸製鋼所の地域貢献と将来性という3者の課題解決への方向性が一致したこと及び2病院(加古川市民病院・神鋼加古川病院)の診療科が補完できる関係であった。以上のことから、統合合意し現在に至る。

(事前提出質問への回答)

  1. 2011年4月、加古川市民病院(406床)と神鋼加古川病院(198床)の統合により地方独立行政法人化され、加古川西市民病院と加古川東市民病院とされた。民間病院との統合にはどんな経緯があったのか。
    ⇒加古川市民病院の医師不足、神鋼加古川病院の建物の老朽化や経営上の不安、神戸大学医局の考え方(統合再編検討)がマッチしたことによる。地方独立行政法人化の理由としては、市として関与する部分を残したいという思いと民間企業のノウハウを取り入れた運営ができるということである。
  2. 加古川西市民病院と加古川東市民病院に再編されて以降、医師不足等の問題が解消されたとされているが、どういう経過で解消するに至ったのか。
    ⇒神戸大学実習生の受け入れなど、教育施設として機能を果たすという約束の中で、神戸大学からの医師派遣再開につながり、医師を確保することができている。
  3. 二つの市立病院における連携・補完の関係はどうだったのか。
    ⇒将来統合させることを前提に、人事交流や診療の補完を行うことを進めてきた。
  4. 二つの市立病院の統合新築に関して、別の場所に病院を新築することになったが、二つの病院跡地に医療機関を残してほしいという市民の声はあったのか。
    ⇒病院が無くなることへの不安等の声はあったが、行政と一緒に説明会を開催する等して、安定的に経営を行い、急性期医療体制を提供できるということを住民へPR説明した。
  5. 西病院の跡地に民間病院を誘致したことにはどんな経過があったのか。中央市民病院との連携はどうなっているのか。その病院はどんな機能を有しているのか。
    ⇒兵庫県と加古川市の協力のもと、東播磨医療圏域の中で70床ほど病床数を確保でき、回復期やリハビリに特化した病院を市主導で誘致した。また、優先的ではないが、急性期は脱出したがまだ加療が必要とされる患者を診てもらう関係がある。
  6. 中央市民病院(600床)の特徴的な新たな機能と市民の反応はどうか。高度急性期、急性期、回復期、それぞれどれくらいの病床数になったのか。
    ⇒5大センター(心臓血管・消化器・周産期母子・こども・がん集学的治療)構想により質の高い医療を提供できるということを市民へPRしてきた。高度急性期が270床、急性期が330床である。
  7. 県の地域医療構想における2040年までの圏域の病床数との関係はどうか。
    ⇒急性期がやや過剰、回復期が不足、高度急性期がやや不足ということで、県にも報告している。
  8. 公営企業法に基づく会計との違いは何か。
    ⇒現在は、特に大きな違いはない。
  9. 公営企業法の全部適用と比べて、より採算性が求められるといわれるが、実態はどうか。
    ⇒採用や定員管理、契約等も柔軟に対応できるというところは地方独立行政法人の方が若干すぐれているところではある。
  10. 公営企業法に基づく公立病院には、国からの交付税措置による市からの補助金があるが、独立行政法人における交付金ではどうなったのか。金額に差が生じたのかどうか。
    ⇒総務省の繰出し基準に基づいており、独立行政法人化後も変わりはない。
  11. 市と独立した法人が経営することによって、市との関係はどうなったか。
    ⇒運営自体は独自であるが、市の認可が一部必要な事項もある。
  12. 議会の関与がほとんどなくなることに関して、議会からの意見はどうだったのか。
    ⇒決算の報告や中期計画は議会の議決が必要となることから、全く関与がないということではないため、現時点で議会から意見をいただくということはない。
  13. 予算・決算は市への報告となっているが、議会への報告と議論はされるのか。
    ⇒決算や年度計画は必ず報告している。
  14. 中央市民病院の新築費用はいくらだったのか。その費用は市が出資したと考えるが、その財源の内訳と今後の市への返済計画はどうなっているのか。その見通しも含めて。
    ⇒総事業費は230億円で計画していたが、実際は226億円で収まった。費用は起債を充て、法人で出資した。財源は地域医療再生基金で10億円、それ以外は長期借入金対応である。土地・建物については30年償還、それ以外については5年償還の返済計画となっている。

<質疑応答>
(問)統合にあたり、支給されていた給与水準を保障する措置はあったのか。また、休暇制度についてはどのように取り扱ったか。
(答)地方独立行政法人に移行した時は、医師以外の事務職や看護師等は加古川市の給与制度に一旦合わせた。その際、給与が下がる職員については現行の水準を保障した。平成27年10月に国立病院機構の給与体系を参考に全面見直しを行い、40歳以降は、昇格しない限り給与はあまり上昇しないが、医師以外、定年を5年延長して65歳とし、60歳で再任用、60歳以降の給与を緩やかに減少する制度を新設し、従来の制度との選択制とした。休暇制度は公務員時の制度を基本的に引き継いでいる。
(問)経営統合の手段として地方独立行政法人化し2病院の経営を行っていたが、6年後に新病院を建設することも見込んでのことだったのか。
(答)その通りである。
(問)神鋼加古川病院の土地建物は市が寄付を受けたのか。
(答)事業譲渡ということで、買収した。
(問)統合にあたり各病院の組合からの要望等はあったのか。
(答)要望等はなかった。両病院とも事前の説明を行い、極端に労働環境や条件が変わるわけではなかったことから、結果的に離職者は少なかった。
(問)統合での離職者はほとんどいなかったということだが、専門職も同様か。
(答)同様である。
(問)建設時、病院事業債(特別分)を利用したか。
(答)利用した。
(問)統合前に電子カルテで患者のやりとりを行うのは個人情報の観点で問題ないか。
(答)患者の照会扱いになるので問題はない。
(問)統合前の神鋼加古川病院の経営状況はどうだったか。
(答)収支均衡である。
(問)神鋼加古川病院独自で建て替えを行うことは可能だったのか。
(答)場所の問題や現地建て替えが困難だったようである。また、経営が赤字ではなかったが、将来的な経営が厳しくなるであろうという予測があった。
(問)診療科を仮に廃止する場合はどういう手続きになるのか。
(答)中期計画の変更となるので議会の承認が必要となる。
(問)経営統合後、しばらく2病院を残しておいた意味は。
(答)統合後すぐに建設することは物理的に無理であるということ、整備計画も作成する中で6年後に病院統合と考えていた。
(問)ドクターヘリはどこの所有か。出動件数は。
(答)兵庫県のものである。年間30から40件。
(問)600床の根拠となる医療需要調査は行ったか。
(答)整備計画の中で、需要見込み、必要な診療科、今後の受療動向等を含めて決定した。
(問)病床稼働率、平均入院日数は。
(答)去年は91%で、9.4日。
(問)東播磨医療圏域の中で三次救急医療機関はあるか。
(答)県立加古川医療センターがある。
(問)市外流出患者の状況は。
(答)循環器等で多少の流出はあるが、基本的には圏域の中で完結できている。
(問)病院統合後、24時間救急対応件数は増加したのか。
(答)心臓血管外科や循環器内科の医師の増加や医療機器の購入等もあり、増加している。
(問)回復期病床数は足りているか。
(答)足りていない。
(問)回復期の患者も抱えざるを得ないと思うが、患者数は。
(答)75%位はDPC上の期間2が適用されている。60日超えの患者さんもいるが入院日数が短くなるよう努力はしている。
(問)加古川中央市民病院は病院区分としては何に該当するのか。
(答)小児や産科など考慮すると、ほぼ三次に匹敵するような役割は果たしている。
(問)三次救急の役割を果たしているということだが、交付金の上乗せはあるのか。
(答)上乗せはない。施設基準に見合った交付金である。

(問)病院統合の準備期間は十分だったのか。
(答)将来を見据えて人事配置を行ったり、運用面ではゼロベースで考える等して対応してきた。
(問)医師の働き方改革は。
(答)循環器科、小児科、救急は交代勤務を試行し、働き方改革をクリアしていこうと努力している。
(問)統合ではなく、2病院を残して欲しいという市民の声をどのようにクリアしたのか。また、説明は誰が行ったのか。
(答)医療の機能分担ということで、かかりつけ医を持つことや救急体制の受け入れの充実等の説明を行った。説明は機構職員と担当部局が行った。
(問)加古川西市民病院跡地に病院を誘致できた理由は。
(答)県と市の調整の上、一定の病床数(70床)を確保できたことによる。

以上

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