令和6年度関西国際空港
1.視察出張者
委 員 長 土井 秀勝 副委員長 新内 善雄
委 員 北原 速男 委 員 高塚 伴子
〃 岸田真佐人 〃 花田康次郎
〃 大江ひろと
議 長 戸田 龍起 副 議 長 竹村 和人
2.視 察 先 関西国際空港
3.実 施 日 令和7年1月21日(火曜日)
4.調査事項 下記報告のとおり
◎1月21日 13:30~ 関西国際空港
<関西国際空港の空港運営について>
初めに、関西エアポート株式会社 三浦常務執行役員・CROより歓迎のあいさつを受けた後、土井委員長よりお礼のあいさつがなされた。
続いて、地域連携部地域共創グループリーダー、安全推進部危機管理グループリーダーからの説明を受け、質疑応答がなされたのち、空港内施設を見学した。最後に、新内副委員長よりお礼のあいさつがなされた。
<説明の概要>
(1) 自然災害発生時の対応
【平成30年台風21号による被災を受けての対応状況】
ハード面においては、台風による高潮や高波、津波などが発生した際に、空港島内に浸水させないための対策として、1 消波ブロックの設置、2 護岸の嵩上げ、3 防潮壁の嵩上げ、4 排水ポンプの浸水対策を実施した。また、万一、空港島内に浸水してしまった場合の対策として、1 止水板の設置、2 制御盤の嵩上等、3 電気設備等の地上化を実施した。さらに、早期復旧のための対策として、1 大型排水ポンプ車の配備、2 小型排水ポンプの調達、3 電気施設等の水密化を実施した。
ソフト面においては、1 タイムマネジメントを基軸とした対応計画、2 危機管理体制の強化、3 日常体制の延長で緊急対応・早期復旧を実施するための日常オペレーションの強化、4 ステークホルダーとの連携強化をコンセプトとして関西エアポートBCPを全面改訂した。
以上のことから、平成30年と比較すると災害への対応は強化されている。
【空港島の地盤沈下の状況】
層厚約25mの軟弱で厚い沖積層の上に空港島が建設されていることで空港島の沈下が発生している。現在の年間平均沈下量は、1期島が6センチメートル、2期島が19センチメートルとなっており、累計沈下量は、1期島が13.11m、2期島が17.25mとなっている。
1期島における沖積層の沈下は収束しているが、沖積層の下にある洪積層の沈下は継続している状況にある。
(2) 貨物専用便の就航
発着回数については、開港以降からコロナ前までは年間1.4万回程度で推移していたが、コロナで旅客便が運休となる中、物流の維持のため貨物便が大幅に増加した。コロナ後は旅客便の復便の影響で減便傾向にはあるものの、引き続きコロナ前よりは高い水準を維持している。年間発着回数の推移は以下のとおりである。
(年間発着回数の推移)
2019年:1.4万回、2020年:2.2万回、2021年:2.8万回、2022年:2.7万回、2023年:2.2万回、2024年:1.8万回
貨物取扱量については、おおむね横ばいとなっている。一時期は減少していたものの、2024年下期頃から上向きな経済の影響を受け回復の傾向となる。特に、世界の他地域と同様、Eコマース関連の需要が非常に強い。また、輸出入額は年々増加の傾向にあり、2023年の実績においては、輸出では「半導体等電子部品」が、輸入では「医薬品」が大きな割合を占めている。
関西エアポート株式会社における貨物戦略では、関西国際空港から流出する貨物を集める「集貨」、新しい貨物の流れを創る「創貨」、日本を通過する貨物を集める「通貨」の3点に主軸を置いている。
「集貨」では、「医薬品の取扱の高品質化」を図っており、関西国際空港では、有志を集めて「KIX Pharma Community」を発足し、「CEIV Pharma」を日本の空港コミュニティとして初めて取得し、サプライチェーン全体での高品質医薬品輸送を実現している。また、厳密な温度管理が必要な医薬品の取扱いに特化した「医薬品専用共同定温庫(KIX Medica)」を日本の空港として初めて設置した。
「創貨」では、昨今、海外にて日本食の需要が高まっており、食輸出拡大への取組として、空港内に食輸出対応施設を整備したことを初め、関西からの食輸出拡大のための食輸出組合を発足させたほか、地方からの貨物を関西国際空港経由で世界へ輸出するため、国内のネットワークを活かす取組が行われている。
「通貨」では、空港内にFedExの北太平洋地区ハブを誘致し、北アジアから集約した貨物をアメリカ向けに発送するための拠点を整備し、関西国際空港を通過する貨物を増やすことで貨物取扱量やフライト便数の増加に繋げている。
(3) 神戸空港で国際便の運用開始等がなされる中、関西国際空港を中心とした、今後の関西3空港の在り方
関西国際空港の将来航空需要に関する調査委員会の報告によると、2030年度シミュレーションでは、旅客数・年間発着回数ともに増加すること、特に、国際線でアジア諸国からの訪日需要が牽引し大幅に増加することが予測されている。こうした状況から関西3空港の在り方を議論する関西3空港懇談会において、関西国際空港の容量拡張、神戸空港の在り方及び2030年前後を目途に関西3空港全体で年間発着回数約50万回の容量確保を目指すことで合意されている。
関西国際空港においては、将来における需要の増加を受け止めるため、1 国際線旅客の増加に向けたキャパシティの拡大、2 エアサイドエリアの充実、3 旅客体験の向上を目的とした第1ターミナルビルの改修等を進めているところである。
(4) 大阪・関西万博に向けた取組
西日本各地への広域周遊観光を促進する観光PRブースを設置している。観光PRブース内では、日替わりで各地域のPRを実施する取組のほか、地域の魅力や観光情報をデジタル化した「関西広域デジタルマップ」や観光地を映像・音声・触覚で体験できる「バイブロスケープ(触覚風景)」を設置している。
また、立体的な映像を用いた環境への取組や水素やSAFなどの新エネルギーを紹介する「環境取り組み紹介ブース」を設置している。
<質疑応答>
(問)天候等の影響により、空港島までのアクセスが停止する頻度はどのくらいか。また、その場合の貨物等輸送の対応はどのように行っているのか。
(答)これまで鉄道が停止された頻度は、年間で数回となっている。一時的に空港島までのアクセスが停止されても、おおむね次の日には復旧しているため、アクセス復旧後はすぐに貨物等輸送が行われる。
(問)南海トラフ巨大地震においては、高潮等による被害も想定される中、その対策はどのようになっているのか。
(答)基本的に高潮等による被害は、国や大阪府が被害想定に基づいて対策を行っている。ハード面では、平成30年台風21号の被災後の対策により対応できると想定しているが、想定が上振れしたものに関しては、ソフト面の対策で対応していく。
(問)空港島の地盤沈下が継続している中、これまでの災害対策の効果が小さくなる可能性はあるのか。
(答)地盤沈下により、さらなるハード面の整備を実施する必要があり、費用面の懸念はある。ただ、計画的な安全整備を実施しているため、災害対策の効果が少なくなるとは考えていない。
(問)神戸空港においては、国際チャーター便の運航及び国際定期便の運用が予定されている中、仮に、国際便の需要減少が見込まれた場合には、関西国際空港に集約する可能性があるのか。
(答)国際便の需要減少により、赤字が見込まれる場合には運航・運用が見直される可能性はある。神戸空港においては、空港までのアクセスや人手不足等、今後の便数増加にあたっては課題が多い。
(問)関西3空港の在り方を踏まえて、今後の関西エアポート株式会社における大阪国際空港の活用をどのように考えているか。
(答)空港の活用における重要な要素として、航空会社による運用戦略と空港自体が持っている機能が挙げられる。大阪国際空港においては、午後9時までの利用制限がある一方、日本航空株式会社(JAL)、全日本空輸株式会社(ANA)といった日本を代表する航空会社による利用が大部分を占めており、これら2つの航空会社による国内線ネットワークの活用及び空港そのものがビジネス拠点である大阪市に近接していることに非常に大きな価値があると考えている。
(問)関西国際空港や神戸空港と同様、大阪国際空港における発着回数の引き上げの予定はあるのか。
(答)1日あたり370回の発着回数制限の見直しがない限り、発着回数の引上げはできないと考えている。
以 上
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更新日:2025年03月05日