令和6年度国土交通省・新千歳空港

更新日:2025年01月15日

1.要望及び視察出張者
議     長     戸田 龍起       副 議 長     竹村 和人
委 員 長    土井 秀勝       副委員長    新内 善雄
委     員     北原 速男       委      員     岸田真佐人
     〃         花田康次郎          〃        大江ひろと
2.要望及び視察先 
(1)国土交通省(11月12日)
(2)新千歳空港(11月13日)
3.要望及び視察日
令和6年11月12日(火曜日)~13日(水曜日)
4.要望及び調査事項
(1)大阪国際空港に係る諸対策について
(2)新千歳空港の空港運営及び周辺市との連携について
 

◎11月12日 13:30~ 国土交通省

<大阪国際空港に係る諸対策について>

〇阪上市議会事務局次長の司会進行で開会され、初めに戸田議長からあいさつがなされたのち、副議長、委員長、副委員長、各委員の順に紹介が行われた。
   次に、国土交通省の大田大臣官房参事官からあいさつがなされ、続いて、航空局職員の紹介がなされた。
   次に、土井委員長から大臣官房参事官に対して要望書が提出されたのち、土井委員長から要望書の内容について説明がなされた。

〇次に、航空戦略室の廣野地域振興・環境調整官から要望内容について、以下のとおり順次回答がなされた。

2.安全対策の一層の充実について(要望書から抜粋)
(1) 航空機の安全運航の確立に最優先で取り組むとともに、地上の安全対策の充実強化を図ること。
(2)運航トラブルの原因究明と航空会社へのトラブル防止の指導を徹底するとともに、航空会社に対する適確な監査と航空管制業務等の安全性向上の推進をはかること。
(3)航空機からの落下物については、航空会社に対する原因究明と再発防止の指導を徹底し、落下物対策総合パッケージに盛り込まれた対策を確実に実行するよう指導・監督すること。
(4)航空に関する規制緩和に当たっては、安全の確保を最優先すること。

(回答)航空の安全は航空行政の最重要課題であり、国土交通省航空局としては、航空会社に対して監査等を通じ、安全確保のための取組について指導・監督を行うとともに、安全上のトラブルが発生した場合にも要因を分析し、その対策や検討を指示するなど再発防止に取り組んでいる。航空管制等の航空保安業務においては、本年1月に発生した羽田空港での事故を受け設置された羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会から提言された対策を含め、安全対策を適確かつ着実に実施していくことで、大阪国際空港に係る航空交通の安全確保に引き続き努めていく。

3.騒音・環境対策の推進について(要望書から抜粋)
(6)大阪国際空港脱炭素化推進計画を推進するため、新関空会社及び空港内事業者等への支援を講じること。

(回答)大阪国際空港では、昨年12月に国土交通大臣より認定された大阪国際空港脱炭素化推進計画に基づき、新関西国際空港株式会社、関西エアポート株式会社などが脱炭素化に向けた取組を推進しているものと承知している。国土交通省としては、再エネ設備やEV充電設備等の導入を支援する空港脱炭素化推進事業費補助金などを通じて同空港の空港脱炭素化を推進していく。

〇次に、質疑応答が行われた。

(問)管制官は、通常目視で確認を行っていると聞いているが、本年1月に発生した羽田空港での事故を受け、現在、進歩しているAIやカメラ映像などを活かしたチェック体制を導入することに対する見解は。
(答)管制においては、時々刻々と変化する気象条件や航空機による優先着陸要請等の突発事案に臨機応変に対応するため、目視による確認とパイロットとの口頭交信により、航空機の安全運航を確保している。こうした目視・口頭による管制は、国際的にも標準となっているが、システムにより人をサポートすることも重要であるため、現在、管制官及びパイロット等に対する注意喚起システムの強化を進めているところである。今後も、6月24日の羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会における中間とりまとめを踏まえ、デジタル技術の更なる活用について検討していく。

(問)航空機が通常と逆向きのコースで滑走路へ着陸する場合、高度が低くなることで周辺の学校や住宅に大きな騒音が生じていることに対する見解は。
(答)令和5年度において、航空機が通常と逆向きのコースで離発着する割合は約1.2%である。風向き等の影響で航空機の運航の安全上、逆発着することはやむを得ないと考えているが、今後もご理解をいただきながら運用していく。

◎11月13日 10:00~ 北海道エアポート株式会社

<新千歳空港の空港運営及び周辺市との連携について>

   初めに、北海道エアポート株式会社 蒲生代表取締役社長より歓迎のあいさつを受けた後、土井委員長よりお礼のあいさつがなされた。
   続いて、北海道エアポート株式会社総務本部地域共生部長と地域共生課長からの説明、質疑応答がなされたのち、空港内施設を見学した。最後に、新内副委員長よりお礼のあいさつがなされた。

<説明の概要>
(1) 道内7空港の運営状況
   2019年8月の株式会社設立後、国管理の4空港(新千歳・稚内・釧路・函館)、道管理の1空港(女満別)、市管理の2空港(旭川・帯広)を運営している。
   新千歳空港の旅客数は、近年、国内・国際線ともに増加傾向にあったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020・2021年度は大きく落ち込んだ。2023年度は国内線の回復が顕著で、開港以来初めて旅客数が2,000万人を超えた。国際線は韓国・台湾を中心に復便が本格化し、前年度比で約+212.3%となったが、中国本土便の回復が遅れており、2019年度比で87.7%に留まっている。
   新千歳空港以外の6空港の旅客数は、国内線を中心に回復し、2022年度比で115.3%、2019年度比で95.9%となり、4年ぶりに500万人を超えた。函館空港及び旭川空港においては、国際線定期便が復便した。
   また、国内旅客における株式会社設立以降の新規就航・運航再開便は、10月1日時点において、1日あたり6路線・9往復となっている。また、国際旅客におけるコロナ禍の2022年7月以降の定期便は、10月16日時点において、1週間あたり新千歳空港で10路線・156往復、函館空港で1路線・10往復、旭川空港で1路線・2往復となっている。

(2)周辺市と連携した地域経済の活性化に向けた取組
   2020年1月、道内7空港について、各空港のマーケティング力の底上げと航空ネットワークの充実等を図り、地域と連携した広域観光の振興を含め地域経済の活性化につなげることを目的に、北海道エアポート株式会社、北海道、空港所在自治体(10市町)とで構成する「北海道内7空港の一体的運営に関するパートナーシップ協定」を締結した。また、本協定に基づき「7空港一体協議会」及び「空港別協議会」を設置し、行政、経済界、観光業界の方々との情報の共有化を図っている。具体的な取組としては、以下のようなものがある。
・空港所在自治体等と連携し北海道内の情報発信と物産のPRを目的とした「第3回これがわたしのHOKKAIDO LOVE!祭」の開催
・道産食品の輸出促進及び海外向け観光PR施策(シンガポール向けのライブコマース)
・新規路線誘致に向けた国際会議「Routes Asia 2024」への参加
・WebサイトやSNS等により、旅マエ・旅ナカ・旅アトの情報をユーザーに届けて周遊・誘導を促すとともに、データの把握・分析等を通じて経営に活用する「デジタルマーケティング」

(3)環境対策への取組
【航空機騒音監視】
   空港周辺住民の生活環境が悪化することを防ぐため、航空機の運航に伴い発生する騒音の暴露状況を把握することと航空機騒音に係る環境基準の達成を把握することを目的とした航空機騒音の監視(測定・評価・予測)等を道内7空港の周辺地域において実施している。
   国・道管理空港は3年に1回、市管理空港は年1回、短期測定を実施している。なお、国管理の函館空港は、「特定飛行場」に指定されており、通年測定も実施されている。
【新千歳空港24時間運用に係る基本協定の締結と地域協議会について】
   平成6年に、22時から翌朝7時までの深夜・早朝時間帯に貨物便に限って6便を運用することで合意し、その後、旅客便も対象となった。北海道、千歳市、苫小牧市は平成6年から平成14年度まで、騒音対策として深夜・早朝時間帯の飛行ルート直下の住民に対して、住宅防音工事、地域振興策を実施し、平成27年度からは深夜・早朝枠を30枠に拡大しての運用に伴い、以後15年間で102億円の環境対策費の支出を予定している。令和2年6月、北海道エアポート株式会社による新千歳空港の運用に伴い、環境対策費の一部として年1.7億円、15年間で25億5千万円を負担し、深夜・早朝時間帯の運用を円滑に実施するため、北海道、千歳市、苫小牧市、新千歳空港周辺環境整備財団との間で基本協定を締結した。
   また、新千歳空港の24時間運用を巡っては、平成2年に千歳市、苫小牧市にそれぞれ地域協議会を設置し、騒音の実績や住宅防音対策の進捗状況等の報告を実施している。
【助成事業】
   新千歳空港、函館空港、釧路空港において、空港騒音の影響を受ける方の生活環境の改善や空港周辺地域の活性化及び空港の利用促進活性化を図るために、地方公共団体が実施する助成事業について要件緩和を行い、使い勝手の良い仕組みを目指すことでより効果的な事業となるよう支援している。
   2023年度の助成事業の実績として、千歳市への航空機騒音測定機器整備事業、消防車・救急車等整備事業、苫小牧市への移転跡地・公園等整備事業がある。
【航空機落下物補償制度】
   万一、航空機からの落下物が発生してしまった場合に備え、離着陸に伴う落下物について、救済制度及び見舞金制度を創設するとともに、補償費の立替えの仕組みを構築し、補償等の充実を図っている。道・市管理空港については対象外であったため、北海道エアポート株式会社による運用開始と同時にそれぞれの管理者と調整し、現在は7空港の全てで適用している。
【航空機防除雪氷作業(ディアイシング/アンチアイシング)】
   降雪地帯にある空港を中心に、航空機の機体に積もった雪を除き、新たな着氷を防ぐため、防除雪氷剤を使用して防除雪氷作業を実施している。日本ではこれまで無色の防除雪氷剤を使用していたが、国際規格の改訂により、有色の防除雪氷剤が使用されることとなる。着色された防除雪氷剤によって、機体に散布した範囲が明確に分かるため、防除雪氷作業の効率化、運航の安全化(散布漏れの防止)の向上に寄与するが、着色された防除雪氷剤は最終的に雨水と同時に、川を経由して海へと配水されるため、有色化にあたっては関係する地元61団体へ説明し、理解を得て実施している。また、排水に伴う水質変化等の影響を確認するため、水質検査を実施し、関係団体に報告している。
【SAFへの取組】
   家庭や店舗などで発生する廃食用油という国内資源を原料とするSAFで、航空機が飛ぶ世界を実現する「Fry to Fly Project」に参加し、空港内テナントへの回収協力を依頼したり、7空港内に回収BOXを設置している。また、「空の日」イベントにおいて、廃食油回収・PRブースの出展を実施している。

(4)その他の取組
【航空営業関連】
   苫小牧港及び新千歳空港からの日本国内への移出及び日本国外への輸出貨物の増加などを通じ、その所在する地域及び北海道の活性化に寄与することを目的に、苫小牧港で倉庫業や港湾運送業などを手掛ける苫小牧埠頭株式会社と連携基本協定を締結している。また、新千歳~仁川線の早期復便を実現するとともに、将来的に運営7空港と仁川国際空港間の航空路線の新規就航及び利用促進等を目的に、仁川国際空港公社と業務協約(覚書)を締結している。
【新技術関連】
   宇宙航空研究開発機構(JAXA)との間で、航空安全技術の研究開発促進に係る連携協定を締結している。2022年2月、新千歳空港において「雪氷モニタリングシステム」実証実験を実施した。また、會澤高圧コンクリート株式会社と協力し、新千歳空港内の駐機場にて、同社の自己治癒型液体補修材「Basilisk(バジリスク)ER7」を使用した「コンクリートひび割れ補修実証実験」を実施した。バクテリアの代謝活動を利用することにより、コンクリートの劣化の進行を遅らせ、駐機場施設などの維持修繕にかかる負担の軽減とライフサイクルの延長が期待される。さらに、稚内空港においては、国土交通省航空局と協働で除雪省人化・自動化実証実験を実施した。
【イベント関連】
   新千歳空港での採用拡大や離職率低下に向け、大学生及び専門学校生を対象とした「就職セミナー」を合同企業説明会として開催し、企業の紹介や採用に向けた説明を実施した。
【滞留者解消関連】
   自然災害の発生等により空港に多数の滞留者が発生した場合、アクセス交通事業者等との連携・協力のもと、最大限の滞留解消に努めることを目的に、運営7空港のアクセス交通事業者等との間で、「滞留者解消に関する協定」を締結している。JRや航空機の運航状況等に鑑み、滞留者が多数発生するおそれがあり、滞留解消のために必要と認めた場合は、当該協定に基づき、空港連絡バス臨時便、貸切バス・タクシー手配等の「代替交通輸送の要請」が可能である。
【交通対策】
   旭川空港に北海道の空港で初めてとなるタクシーアプリ『GO』のりばを設置し、広域観光拠点としての2次交通の充実及び利便性向上と、空港待ちタクシー台数の不足顕在化の課題解決を目指す実証実験を実施した。
【受賞関連】
   総勢約200名の除雪隊により蓄積された技術の確実な伝承に加え、「除雪の省力化」や「雪質分析の高度化」といった先進技術を取り入れた資本代替策の研究活動を推進した。
【活性化投資関連】
   2023年12月8日、ビジネスジェット利用者専用の保安検査場、税関・出入国管理・検疫所(CIQ施設)、ラウンジスペースを完備した専用ターミナルを新設し、運用を開始した。国際的にビジネスジェットによる移動需要が高まっている中、道内における高付加価値な観光体験に繋がる玄関口としての設備を整備し、スムーズな出入国手続や快適な時間を提供することでビジネスジェット利用者の来道促進に寄与している。
   新千歳空港を目的・出発地とした利用のほか、給油目的等での利用も可能である。北海道の風、光、大地をテーマに温かみのある空間で、快適に過ごせるサービスを提供している。
【Rapidus工場建設関連】
   世界最先端2nmの半導体の開発、製造を行うRapidus社が新千歳に立地し、現在、国・道・千歳市、海外企業等とも連携しながら進める世界を巻き込んだ国家的プロジェクトとなっている。

<質疑応答>
(問)近年のインバウンド需要を受けて、消費が大きい国・地域はどこか。
(答)近隣の韓国や台湾の方で約12~13万円、最も消費が大きい米国の方で約25万円である。遠方の国・地域になるほど、滞在日数が長くなるため、消費が大きくなる傾向にある。

(問)空港利用者の状況やアクセス方法はどのようになっているのか。
(答)週末のイベント開催もあり、11月現在においても旅客は好調となっている。今年1月から対前年比100%超が続いている。特に、国際線は最も多い時期で対前年比150%超となっており、コロナ禍後における人の流動の変化を感じている。空港アクセスについては、JR札幌~千歳間は6両編成であることから、輸送人員が少ないといった課題があり、現在、北海道開発局と調整している。

(問)市管理空港(旭川・帯広)間での旅客におけるすみ分けや、旅客獲得に向けた施策に伴う相乗効果はあるのか。
(答)特に、市管理空港(旭川・帯広)では市の空港という側面が強く、それぞれ熱心に広報活動をしながらも、互いに連携し、旅客の確保・獲得を行っている。また、道東3空港(女満別・釧路・帯広)では、首長同士が連携し合いながら施策を進めているところも見られ、道内空港間の連携が重要視されている。

(問)現在、運営7空港に入っていない空港から、運営に加えてほしいといった要望等はあるのか。
(答)丘珠空港は、札幌市と近接していることや、1,500mから1,800mへの滑走路の延長が計画されていることもあり、同じ道内の空港として、誘客事業で連携している実態がある。

(問)Rapidus社の工場の設立に伴い、今後の空港利用の在り方はどのようなものになるのか。
(答)Rapidus社の工場設立は、北海道経済に対する影響も大きく、北海道経済連合会において、新たに財団を設立し、規制緩和に向けた活動、大学と連携した人材の確保、関連産業の誘致といった取組を実施している。また、Rapidus社を中心に、苫小牧市や石狩市を含めた地域(道バレー)にデータセンターといった施設が進出してきている。北海道エアポート株式会社でも地域振興の観点からRapidus社に人材の派遣を行っている。

(問)大阪国際空港では、騒音問題等の課題がある一方、地元の空港を利活用していくため、国内長距離便(大阪~北海道・沖縄)の増便を目指しているが、大阪国際空港への増便や利活用についての検討はなされているのか。
(答)北海道エアポート株式会社内では、各空港や自治体と連携・調整を行う旅客営業部を設置しており、今回の大阪国際空港における意向を伝達し、今後、連携していく方向に進められたら良いと考えている。

以 上

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