令和5年度国土交通省・福岡県福岡市

更新日:2023年12月28日

1.要望及び視察出張者

議     長     戸田 龍起       副 議 長     竹村 和人

委 員 長    土井 秀勝       副委員長    新内 善雄

委     員     北原 速男       委      員     高塚 伴子

     〃         岸田真佐人          〃        花田康次郎

     〃         大江 広人

2.要望及び視察先 

(1)国土交通省 (11月14日)

(2)福岡県福岡市 (11月15日)

3.要望・視察日 令和5年11月14日(火曜日)~15日(水曜日)

4.用  件 (1)大阪国際空港に係る諸対策について

                (2)福岡空港の空港運営について

 

◎11月14日(火曜日) 午後1時30分~

国土交通省に対する要望運動について

○佐藤事務局長の司会進行で開会され、初めに戸田議長からあいさつがなされたあと、副議長、委員長、副委員長、各委員の順に紹介を行った。次に、国土交通省の東田大臣官房参事官からあいさつがなされ、続いて、航空局職員の紹介がなされた。次に、土井委員長から大臣官房参事官に対して要望書が提出されたのち、土井委員長から要望書の内容について説明がなされた。

○次に、航空戦略室の佐藤地域振興・環境調整官及び東田大臣官房参事官から要望内容について、以下のとおり順次回答がなされた。

3.騒音・環境対策の推進について(要望書から抜粋)

(5)民家防音工事及び教育施設等の助成等制度の維持・拡充を図ること。

(6)空港脱炭素化推進計画を推進するため、新関空会社及び空港内事業者等への支援をさらに充実すること。

(7)近年増加傾向にある遅延便について、類似空港の対策を検証し、周辺地域と共生できる対策を講ずるよう、新関空会社及び関西エアポートに対し、指導・監督すること。

(回答)

(5)の民家防音工事及び教育施設等の助成等制度の制度拡充として、令和5年度から更新工事4を開始している。本制度では、近年、単身世帯の割合が高くなっていることから、更新工事4として単身世帯も更新対象に加えている。また、本制度の対象区域住民への周知については、関西エアポート株式会社のホームページ・パンフレットに掲載するとともに、各市広報紙にも掲載していただくことにより実施している。なお、関西エアポート株式会社の経営判断により、国の制度拡充に先立ち、令和4年度から4回目の更新工事を開始されている。大阪国際空港における空港周辺対策は、関西エアポート株式会社により、国に準じた住宅騒音防止工事や、教育施設等の防音工事の助成を適切に実施しているものと認識している。

(6)の空港脱炭素化推進計画の推進について、大阪国際空港では昨年11月に大阪国際空港脱炭素化推進協議会を設置するなど、空港脱炭素化に積極的に取り組んでいると認識している。国土交通省においては、各空港の脱炭素化を推進するため、推進計画策定ガイドラインや事業推進のためのマニュアルの作成、再エネ設備や電気自動車・燃料電池自動車のインフラ設備等の導入支援、空港におけるカーボンニュートラル化実施計画策定支援などを行っている。こうした支援などを通じて空港の脱炭素化を進めていく。

(7)の遅延便については、令和4年が132便となり非常に増えているが、コロナ禍を除くと平成30年が103便であるため、その頃から増えてきている。理由のない遅延は認めないという福岡空港の例もあり、関西エアポート株式会社も福岡空港の状況をしっかり見ていると思う。悪天候による離着陸機の輻輳により、上空に非常に多くの航空機が集まることによって、順番に降ろさなければならないということで、多くの遅延が起きている。悪天候で降りられないというのは大阪国際空港の悪天候ではなく、日本全国のどこかで日中のうちに悪天候になることで、数珠つなぎに遅れてしまうということで、132便が昨年遅れている。これは、大阪国際空港だけではなく、中心となる羽田空港でも非常に問題になっている。結果的に、様々な日本の空港で遅延の問題が出てきているため、我々としても非常に問題意識を持っているので、悪天候による遅延への対策を全空港でどのようにしていくかというところを、関西エアポート株式会社とも協議しているところである。

○ 次に、質疑応答が行われた。
(問)2025年に大阪・関西万博が予定されており、また、今後神戸空港に国際便の運行も予定されている。それらに伴う大阪国際空港に対する影響について伺う。
(答)神戸空港の発着便数は80便を上限としているが、2025年には120便になり1.5倍程度増便する予定である。また、2030年を目途に国際化されればさらに40便が増える予定である。しかし、関西圏の航空需要を考えると、神戸空港の上限を引き上げても、大阪国際空港に直ちに影響があるかというと、必ずしも大きな影響はないと考える。また、神戸空港は、関空国際空港・大阪国際空港を補完する空港という位置付けを変えない方針であるため、大阪国際空港への大きな影響はないと思われる。

(問)インバウンドや日本全体のツーリズムを考えると、現在、羽田空港は容量オーバーとなっている。オールジャパンとして、大阪国際空港で補完できないかと考える。大阪・関西万博の開催も近いため、関西国際空港や大阪国際空港にエアラインを誘致することが、得策であると考えるが、見解は。
(答)オールジャパンとして航空需要を受けとめていくということに関しては、羽田空港が容量オーバーに近いため、関西圏や中部圏が大きな鍵を握っていると考える。特に、海上空港である関西国際空港に関しては、4,000メートルと3,500メートルの滑走路が2本あるため、国際的な需要を受けとめるという意味では、空域の制限を見直すことにより、空港の容量を拡張することが一つ考えられる。ただし、関西国際空港では、乗り継ぎ客が少ないことから、関西を目的とした来訪者を、地方にどうやって送客するかということを考えると、やはり大阪国際空港の役割は非常に大きいと思う。そのため、役割分担をしながら、ウィン・ウィンな形で発展していくことが、健全な姿だと思っている。

(問)関西国際空港や神戸空港は海上に、羽田空港は湾岸沿いにあるため、今後、発生が予測されている大地震や津波被害を考えた場合、内陸空港の有効性は非常に高いと考える。大阪国際空港が内陸空港であることを生かして、何らかの国際線を誘致する必要があるのではないかと思うが、見解は。
(答)関西国際空港は湾内にあるため、大地震とそれに伴う津波による被害は、そこまで大きくならないかもしれないが、海上空港へのアクセスは橋を利用することとなるため、アクセスができなくなるという弱点があることは間違いない。一方で、大阪国際空港は内陸空港であるため、災害に強い空港であることは間違いないと考える。関西国際空港の機能が停止した時に、その代替として大阪国際空港をどうするのかという議論は、関西3空港懇談会の場などでしっかり議論し役割を考えていくものと思われる。

(問)今後リニア中央新幹線が開業し、大阪国際空港の利用者が減った場合の対応として、国際便を就航する等、何か具体的な対策のイメージはあるのか。
(答)あらゆる可能性がある。現在制限されている長距離便をより増やしていくのか、それとも国際化なのかというのは、リニア中央新幹線の開業が近くなってから議論されていくものと考える。当然、関西圏の航空需要の伸びといったものも勘案しながら、大阪国際空港の存続及び今後の同空港の運用等に関する協定の趣旨なども踏まえた上で、国が地元としっかり議論していかなければならないと考えている。

(問)空港付近の学校は助成金により防音工事をしているが、最近劣化が進んでいる。特殊な窓で通常の修理ができないため、今後の修理にも補助をしてもらえないか。
(答)騒音対策については、現在、関西エアポート株式会社で対応してもらっている。関西エアポート株式会社による騒音対策は、我々国よりも一歩進んでおり、令和4年度から住宅騒音防止工事における更新工事の第4回を実施していただいたところであるが、いただいた意見は、関西エアポート株式会社に伝達する。

(問)関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針の見直しについてはこれまで継続して要望してきているところだが、現状どのように考えているのか。
(答)大阪国際空港の在り方について、関西3空港懇談会では現状、遅延便の課題を解決するということを1丁目1番地としていると認識している。その課題解決を図った上で、大阪国際空港の存続及び今後の同空港の運用等に関する協定や地元の意向などを踏まえ、今後、在り方を議論することとなっていたと思われる。まずは、喫緊の課題である遅延便について、皆で一緒に課題解決を図っていき、その上で、地元及び関西3空港の問題でもあるため、関係者の協議の上で在り方を議論していくことが必要と考える。その先に、要望されているような基本方針の見直しが視野に入ってくるのではないかと思う。

 

◎11月15日(水曜日) 午前10時00分~

福岡空港の空港運営について

   初めに、福岡市議会事務局総務秘書課係長よりあいさつの後、土井委員長よりお礼のあいさつがなされた。その後、港湾空港局空港振興部から説明がなされ、質疑応答が行われた。最後に、新内副委員長よりお礼のあいさつがなされた。

<説明の概要>
○ 福岡空港の現況
・福岡空港は、空港面積が約355ha、滑走路は1本(2,800m×60m)運用時間は24時間、利用時間は15時間(7:00~22:00)である。
・国内空港の中で、都市中心部からの距離、移動時間の短さで第1位である。
・令和4年度の乗降客数は1,797万人、発着回数は15.9万回である。
・令和4年度における乗降客数と発着回数を国内主要空港と比較すると、どちらも第3位であるが、滑走路1本の空港としては、どちらも第1位である。

○ 福岡空港の騒音・環境対策
・騒音対策として、航空機の騒音の大きさを表す指標(Lden)の測定値によって、各種対策を実施している。
・発生源対策を2種類行っている。1発着規制として定期便ダイヤ(7:00~21:55)、離着陸(7:00~22:00)を設定。2運航方法の改善として、急上昇方式やディレイドフラップ方式などの騒音軽減運航方式を採用している。
・環境対策として、空港振興・環境整備支援機構が各種事業を行っている。

○ 空港周辺のまちづくり
・今後の滑走路増設などにより、さらなる空港と地域との共生が求められていることから、福岡空港地域対策協議会を中心とする地域自らが、まちづくりの取り組みを3段階に分け開始している。
・まちの将来像を「豊かな自然とともに安心・快適に暮らせる空港のあるまちづくり~地域のために、福岡・九州のために、そして子どもたちのために~」と設定している。
・福岡空港地域対策協議会や自治会、PTA等、幅広い地域の住民からなるグループが主体となってワークショップを開催し、まちづくり計画を作成している。最終的には、「まちづくり計画書(仮称)」として令和5年度末に策定される予定である。
・令和6年度以降、まちづくり計画の具体化・実施に向け、地域が主体となり、国・県・市・空港運営会社と協働で取組を継続していく。

○パートナーシップ協定締結による効果
・空港の民間委託において、制度上、自治体が関与・連携する仕組みとして空港法第14条に基づき設置される法定協議会があるが、加えて、福岡市と空港運営会社との間で、相互の協力と密接かつ持続的な連携により、福岡空港及び地域の活性化を図ることを目的として、平成30年8月にパートナーシップ協定を締結し、協定に基づき、福岡市・福岡国際空港株式会社協議会を設置した。開催実績として、令和5年11月時点で協議会5回、幹事会12回を実施。
・市独自の協議の場では、これまで空港所在自治体の立場から、「利用者利便の向上と航空ネットワークの拡充」「安全対策」「環境対策や地域共生」などについて継続して申し入れを行っている。

<質疑応答>
(問)今回増設される滑走路を2,500mにした経緯は。
(答)福岡空港は市街地に近く、東には山があり、近くを高速道路が走っているという制約の中で長距離の滑走路を新たに増設することは難しい。当初は、滑走路を北や南にずらしたり、海上空港を作ることで長距離の滑走路の増設も検討されたようだが、費用面等も鑑みた結果、現在の空港の場所で、2,500mの滑走路を増設することとなった。

(問)乗降客数について、令和4年の国際線は226万人、国内線が1,571万人ということだが、国際線226万人の国別の割合は。また、福岡は、韓国へのフェリーの運行があるが、韓国からの移動は航空機と比較し、どちらが多く利用されているのか。
(答)国際線の便数の割合は、およそ半数強が韓国である。今年9月の実績では、1,595便のうち915便が韓国からである。コロナ禍以前は、半分程度が韓国であったが、現在は半数を超えている。中国の利用者の戻りが遅い一方、韓国からの利用者の戻りが早いこともあり、韓国の割合が非常に高くなっている。また、船の乗降客数の資料はないが、現在、福岡・釜山間で定期便が2便あり、1つが高速船で約200キロの距離を4時間弱程で結んでいる。もう1つは貨物も運ぶフェリーであり、こちらは6時間程かかる船である。冬のソナタブームの時代は船の便数も多く、乗降客は80万人程であったが、現在は、数万人レベルだと思われる。福岡と釜山間の航空機の乗降客数は今手元に数字がないためわからないが、現在は、明らかに航空機の利用者が多い。

(問)空港の利用時間が7時から22時までとなっているが、この時間帯となった経緯は。
(答)昭和46年12月、旧環境庁から旧運輸省に対して、大阪国際空港の発着時間を7時から22時までとするよう通達が出されたようである。おそらく7時から22時までになったのはそういう経緯のためと考える。その頃、航空機騒音の環境基準なども、色々と国の方で検討されており、環境基準も7時から19時までは通常の騒音だが、19時から22時までの3時間については騒音のエネルギーレベルを3倍にし、22時から翌日の朝7時までの間は10倍としてカウントするという考え方で、航空機騒音の環境基準が決められている。22時から翌日の朝7時までは、騒音が最も重い10倍にカウントされる時間帯で、国民の生活に合わせて線引きをされたのだと思う。旧環境庁からは、おそらく環境基準の作成に合わせて、大阪国際空港について22時から翌日の朝7時までは発着しないようにといった指導がなされ、それに準じ、福岡空港も定められたと考える。

(問)平成27年11月18日に発着規制の時間を改正されたのは何故か。
(答)定期便ダイヤも発着規制が22時までだったが、5分間縮めることにより、少しでも22時を超える便を少なくしようとしたものである。

(問)南風と北風の時で飛行経路の運用が変わるということだが、時間帯でも変わるのか。
(答)時間まで決まってはいない。午後になると海風により北風になることから北風運用に変わり、夜は逆向きの風となるため、南風運用に変わるのが一般的なパターンである。なお、低気圧や台風でも風向きが変わるため、その都度対応している。

(問)1日のなかで、異なる飛行経路を運用されているが、市民は当然のことと認識しているのか。
(答)何十年も前から運用しているため、苦情はあまりないが、やはり、航空機が飛ぶことによって、音がうるさいという声はある。また、資料には飛行経路を2つしか書いていないが、実はこのほかに7%の割合で、雲が立ち込めて全く地上が見えない場合に南側からILSという電波を使った航路が運用されており、その場合はずっと南側、久留米方面から真っすぐ降りてくる。

(問)騒音問題について、学校施設へはどのような配慮がなされているのか。
(答)航空機騒音防止法に基づき、おおむねLden57の区域内の小中学校等については、防音工事がなされており、空調機器等も設置している。市立学校については、国の助成金を使いながら市が整備している。

(問)空調機器等の整備から時間が経ち、不具合等が出てきた場合、どのように対応しているのか。
(答)改修費用については国の補助が1回目までしかないため、2回目以降の改修については、通常の学校整備をする際の補助金を使って改修工事を行っている。また、空調機器の整備については、2回目の更新が終了している。

(問)福岡空港近隣のサッカースタジアムは、騒音に関する補助金を使って整備されたのか。
(答)当該スタジアムは騒音対策区域の外になるため、補助金は入っていない。

(問)滑走路が1本だと、航空機の輻輳が多く発生するのではないかと考えるが、輻輳による遅延便やその処理についてはどのように行っているのか。
(答)悪天候等の場合、22時を超えて着陸する便がある。基本的には、順番に航空機を着陸させていくしかないと考えている。

(問)着陸便が順番待ちをする時間帯は、夕方が多いのか。
(答)21時半以降はできるだけ順番待ちが発生しないよう、着陸便数を絞っている。ただし、21時台になると、羽田空港からの便が多いため、順番待ちが発生している。

(問)遅延便は年間どのくらいあるのか。
(答)今年は半年が経過した時点で100便を超えた。地域住民からは、22時以降の遅延便をなくして欲しいという声が上がっている。

(問)悪天候等で22時を過ぎる場合に、ダイバート先として北九州空港を指定していると思うが、遅延便でダイバートするケースは何件ほどあるのか。
(答)天候や、航空会社の理由で、遅延便を認めるケースはないものと聞いているが、遅延便が発生している状況である。北九州空港に着陸する場合や、羽田空港に戻るパターンも中にはあるが、ほとんどない。

(問)遅延便で、一番遅くなった時間は。
(答)具体的には聞いていないが、22時半を超えたことはほぼないと思われる。

(問)遅延便が発生した翌日は、市に連絡があるのか。
(答)基本的に空港事務所への連絡になると思われる。遅延便が発生した場合、空港事務所から地元団体へ連絡をしている。

(問)遅延便は、ペナルティとして着陸料を3倍とする対応を取っていると思うが、このような対応を取ることになった経緯は。
(答)市ではなく、空港会社が、地元に配慮し、運営方針で3倍の着陸料を取っている。

(問)着陸料を3倍とする対応について、市はどのような受け止めをしたのか。また、この着陸料の取扱いはどうなっているのか。
(答)空港の運営権を取得する際、応募した各社が様々な提案をしたところ、現在運営権を取得している運営会社が着陸料の件を提案したということである。また、着陸料については、運営会社の方で積み立てしていると聞いている。どのような取扱いになるかは、運営会社で考えているのではないかと思う。

○この後、福岡空港に移動し、国内線ターミナルの見学を行った。

                                                                                                                                                                                                                           以上

 

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