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人形作りの大ベテラン 手芸家の亘正幸さん(広報伊丹3月1日号掲載)

手芸家の亘正幸さん

亘さんの昔の人形作品

製作中の押絵

 亘(わたる)正幸(まさゆき)さん(79歳。緑ケ丘1)は、染色、押し絵、人形、ちりめん細工などさまざまな作風の手芸品を、70年以上にわたり作り続けています。
 個展を開催し、お弟子さんに技を教えるお師匠さんをつとめ、著書も多数出版しています。
 幼児期からお絵描きや工作が好きでした。婦人用の帽子製作の内職をしていた母親から余り布をもらい、10歳で初めて人形を作りました。「人形を作るたびに親友のお母さんが褒めてくれた」のがとてもうれしくて上達していきました。
 高校生になって人形作家に師事。羽子板製作で用いる「押し絵」や「人形作り」の専門的な技法を学び、洋裁店で販売されるほどの作品を創作しました。
 大学卒業後は、百貨店に就職しました。社会人になってからは、仕事の傍ら作品作りを続けます。百貨店での文化催し担当になったことで、多くの芸術家と出会い刺激を受け、自身のちりめん細工や人形の創作に、広がりや深みを増す機会になりました。

亘さんが製作したかわいい人形たち

 特に人形作家の布士富美子先生(故人)からは没後、多くの古布コレクションを譲り受けるほど懇意にしてもらいました。
 現在は「姉様人形」の制作に注力しています。「谷崎潤一郎や正岡子規が愛した姉様人形。江戸時代から明治、大正、昭和の各時代で流行した髪型や着物・帯の色柄の組み合わせが異なり、その伝統文化の魅力を千代紙ではなくちりめんで再現する独自の作品で表現したいです。」
 「3月に80歳を迎えるのを機に、『うつくしいなつかしい「姉様」』を出版予定で、最後の詰めをしています」と笑顔で語ります。
 亘さんが今、作品作りで大切にしていることは「純粋さ」。「作りたい」という自分の純粋な気持ちを大切に、自宅の工房で丁寧な手仕事を続けています。