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伊丹市女性施策市民オンブード調査報告(H13.3)

更新日 2007年11月15日

伊丹市女性施策市民オンブード平成11年度調査報告書(平成13年3月)

目次:

はじめに

第1部教育と啓発
(1)学校園における男女共生教育の推進(No.1,3,5-7,9-15,17,18)
(2)啓発(No.24,26,30,34)

第2部就労支援
(1)育児と就労の両立支援(No.54ー59,120-123,130)
(2)女性の起業支援事業(No.66-68)
(3)企業への取り組み(No.43-49)

第3部地域と福祉
(1)地域活動と女性の参画(No.24,112ー117,121)
(2)介護保険とケアワーク(No.75,77-79,82)

第4部女性施策
(1)委員会等への女性登用(No.109,110)
(2)伊丹市の女性登用(No.19)
(3)女性のための行動計画の見直し(No.139,142)
(4)女性施策市民オンブード(No.137,138)

結びにかえて

 

本文:

はじめに

伊丹市女性施策市民オンブードは1997年度より発足し、オンブード報告は今回で4回目となる。
1999年6月に男女共同参画社会基本法が制定され、2000年12月には国の男女共同参画基本計画が策定された。これらの国の方針を受けて、地方自治体の女性施策(男女共同参画施策)として男女共同参画条例を制定する動きが全国的に強まっており、同時に男女平等オンブズマン制度を創設する意向も出はじめている。
このようななかで、伊丹市の女性施策市民オンブードは先進的な例として注目されている。したがって、本年の伊丹市オンブード報告は上記の点を意識して、オンブードによる自己評価を加えた。オンブズマンはスウェーデンで生まれた制度であるが、その主旨は市民からの苦情受け付け、処理と不公平の緩和にある。そのためオンブズマンには強い権限と任務遂行のための人員や予算が与えられている。伊丹市の女性施策市民オンブードはオンブズマン制度を模してつくられたものではあるが、苦情処理は行わず、また権限も与えられていない。その意味ではオンブズマンと言い難いかもしれないが、市民と行政を直接的につなぐということについては、一定程度の役は果たしていると思われる。
詳細は後述するが、今年度には伊丹市内の女性活動グループとタイアップして、「女性問題を語る会」を立ち上げ、夏にはメンズセンターから講師を招いてDVの学習会も開いた。本報告書はそれらの方々から寄せられた意見を反映させながら、まとめたものである。
第1部では、教育と啓発を取り上げる。伊丹市の女性施策は教育を重視したものであり、その進捗状況と課題について述べる。
第2部では、女性の就労支援について、育児と就労の両立支援、起業支援、企業への働きかけの3点を取り上げる。
第3部では、地域と福祉について報告する。介護保険と女性の地域活動に関わる問題点を探りたい。
第4部では、女性施策について報告する。本年度は「伊丹市女性のための行動計画」の中間年にあたり、女性の登用など現状を報告する。

第1部教育と啓発

(1)学校園における男女共生教育の推進(No.1,3,5-7,9-15,17,18,)

2000年度のオンブード報告において、伊丹市の男女共生教育は着実に進んでいると評価した。今年度はその評価の上にたって、昨年度では課題として残された点について、施策の進捗具合を点検した。

(1)学校における女性管理職の登用
1999年4月1日現在の伊丹市立学校園の校園長に占める女性比率は、幼稚園では76.5%、小学校では17.6%、中学校では12.5%、高校と養護学校では0%であった。これらの数値は2000年4月1日現在では、下記のようになっている。

    校園長   教頭
   全体
女性 
 女性登用率  全体  女性  女性登用率
 幼稚園  17   14   82.4%  2  2  100%
 小学校   17   3   17.6%  17  2  11.8%
 中学校   8   0  0.0%  8  2  25.0%
 高等学校   2   0  0.0%  2  0  0.0%
 養護学校  1   0  0.0%  1  0  0.0%
 計  45  17  37.8%  30  6  20.0%

上記の表にみるように、幼稚園は女性占有率が昨年度より高くなり、小学校は変わらず、中学校は低下した。1999年度の全国平均では、小学校校長の女性比率は14.5%、教頭は22.6%、中学校では校長の女性比率は3.4%、教頭は7.4%である。高校では校長は3.2%、教頭は4.1%である。したがって、全国平均と伊丹市の状況を比べると同程度といえようか。(ただし、高校、養護学校については校数が少ないため、比較できない。)
いずれにしても、幼稚園では女性教師が多く、子どもの年齢があがるにつれて男性教師が多くなり、管理職については幼稚園を除いて男性が多いという状況には変化がなく、むしろ、わずかであるが昨年度よりジェンダー・バイアスが増し気味である。ちなみに、小学校教員の男女の割合は男性が37%、女性が63%であり、中学校では男性60%、女性40%である。この男女の構成割合と管理職の男女比をくらべると、管理職においてジェンダー・バイアスが激しくなっているという事実を再度、指摘したい。
なお、2000年度に行われた「学校管理職への女性登用のための研修」では62名の受講者のうち、女性は22名であった。

(2)教職員研修
学校における男女共生教育は単に男女平等を教えるということではない。学校組織、教員の言動などの広い意味での教育環境が、ジェンダー・ニュートラルになっているかどうかが重要である。そのため、ジェンダー問題についての教師の意識や感性が問題になり、教員研修が重要となる。昨年度のオンブード報告では、教育委員会が所管して行う研修会は一通り行われていたが、校内研修会については把握できでおらず、今後の課題とした。
今年度には、伊丹市立校園のすべてに、平成11年度分の男女共生教育推進状況調査が行われ、オンブードにも報告された。それによると33校園のうち、なんらかのかたちで校内研修を行っている学校園は10校園程度であった。「程度」と述べた理由は、たとえばセクシュアルハラスメントについて資料を活用した研修を行っている場合でも、「男女共生教育研修」は行なっていないなどの回答があり、「男女共生教育研修」の捉え方が各校園で若干違うためである。したがって、厳密な校数をあげることはできないが、幼稚園ではPTA主催の研修会で、父親による子育て講演会を保護者の発意により行っている園もある。また、地区懇談会や同和懇談会などの場を使って、子育てのなかに男女共生を入れていこうとする意識も芽生えている。
小学校では講師を招聘しての研修会、職員会議での確認、学期はじめの話し合い、参観授業などさまざまに試みられており、性教育も含めるとおよそ半数の小学校が何らかの取り組みを行っている。中学校では小学校に比べると低調の感がする。中学校は抱える教育課題が多く、学校現場では「男女共生教育どころではない」という実状であると推察する。しかし、後述するように体育や運動会を男女共学で行っている学校もあり、中学校で男女共生教育が行われていないわけではない。男女共生教育は何らかの特別なテーマで、特別に時間を区切って行うだけではなく、あらゆる教育場面で浸透させるべきものである。教師集団が男女共生教育の趣旨を理解するための機会をもつことが重要である。
以上のような問題はあるが、全般的にみると昨年度より進歩したと受け止められる。なお、2000年度に総合教育センターで行われた教育課題研修は、幼稚園から中学校までの実践を報告するシンポジウム形式の研修であった。今年度は、講師による一方的な講話研修を実施する段階から、次の段階へと進んだと思われる。

(3)男女混合名簿、技術・家庭科の完全共学、体育の共学化など
兵庫県のなかでは、伊丹市は全市立学校園あげて男女混合名簿を採用した最初の市である。先述した調査によれば、全校園とも男女混合名簿について特別の支障はないと回答している。中学校では体育や保健関係に関わって男女別名簿を用いている学校が残っているが、若干の差し障りはあっても問題とするほどではないという。小学校を中心に男女混合名簿、整列や教室の座席などの男女区別を廃止したため、自然に男女児が混ざり合うようになったとの報告が目立っている。なお若干の解決すべき問題が残されているが、男女混合名簿の導入は概ね成功したと言ってよいと思われる。
中学校の技術・家庭科は1,2年時には完全共学が実施されているが、3年時に男子は技術、女子は家庭と分けている学校が1校だけであるが存在している。教師の専門性のためという理由であるが、早急に共学に移行できるような措置を望みたい。
また、体育の共学化がすすんでおり、幼稚園、小学校では男女共学で授業が行われている。中学校では球技を中心に、体育大会でも団体走などの男女共学型の競技が増えている。これらの実績は体育の担当者会、健康教育担当者会などでの啓発の成果と推察され、その努力を多としたい。しかし、中学校の体育大会ではなお半数程度の学校で、接待役は女子、物を運ぶ役は男子などの性別役割分担が残っている。

(4)進路指導など
進路指導については「進路学習ノート」がつくられており、将来の職業選択に向けて子どもが自分で考える工夫がなされている。しかし、同ノートの記述を見ると、工業高校、工業専門学校、理数コースに進学した体験を話している登場人物はすべて男子生徒、商業高校、英語コースに進学した体験を話しているのは女子生徒など、従前からの男子用または女子用コースの再生産が行われるおそれがある部分がある。工業については女子生徒の経験を、商業や英語については男子生徒の経験を例示するなど、ジェンダー・バイアスをなくす方向での改訂が必要である。
同様の問題は「トライやるウィーク」についても言える。男子はガソリンスタンド、釣り具店、昆虫館など男性向きと思われている職場へ、女子は幼稚園、保育所など従来より女性向きと思われている職場を希望する率が高い。「トライやるウィーク」は「心の教育」を目的としており、勤労体験学習が第一目的ではなく、また体験に出向く先については生徒の希望を大切にすることが必要であることはもちろんであるが、「心の教育」を目的としながらも実際には、生徒たちは職業体験をしているし、ジェンダー・バイアスの再生産につながりかねない事情の下におかれている。現状改善の必要があろう。
その他、幼稚園や小学校では男女の色分けをしない、学級懇談会やPTAなどで保護者への説明や協力を求めるなど、中学では学年通信などで保護者の理解と協力を求めるなど努力が重ねられている。各校園により取り組みの程度には差があるが、全般的に伊丹市はよく頑張っていると評価すべきである。ここまで達するためには、伊丹市教育委員会の功績が大きかったと思われる。しかし、男女共生教育は行政による指導によってのみでは、進展しない。今後は教師や保護者の自発的な教育にどう転換するか、新たな課題を視野に入れる必要があろう。


(2)啓発 (No.24,26,30,34)

男女共同参画に関わっての啓発は、広報「いたみ」の他、年2回発行の「でるくいー」と「女性『「町衆』講座」が中心である。「でるくいー」の編集には市民が関わり、評判も良いようであるが、編集委員を公募しても集まりはよくない。その原因を特定することは出来ないが、一回の編集に関わる謝金額の検討も必要と思われる。
また、「女性『町衆』講座」も参加者の絶対数が減少傾向にある。1998年度には28名の応募者があり、23名が受講し、1999年度には23名応募し、21名が受講、11名が修了した。2000年度には15名が応募、受講、修了した。応募者が年々、減少することはある意味で、やむを得ないことであり、また市外からの転入者が応募する傾向もあり、ひとまず現状を肯定したい。しかし、男女共同参画推進という視点から軌道修正が必要な時期に来ているとも思われる。担当者によると、男性に向けた介護保険講座などが考えられている。「女性『町衆』講座」は行政と女性市民をつなぐ役として有効に機能してきたため、それを損なわないかたちでのリニューアルを望みたい。
団体や団体リーダーに対する啓発として、出前講座や市民フォーラムが開催されているが、出前講座は年2回と年間の回数は少な目であり、また企業への出前は行われていない。企業の人権問題学習として組み込むことは可能と思われる。女性団体のリーダー研修としては「女性『町衆』講座」の一部を公開講座として、それへの参加を求めるというかたちで行われているが、リーダー研修としてはいわゆる「承り学習」ではない、参加型の学習へとヴァージョンアップすることが望ましい。次年度へむけての検討課題としたい。

第2部就労支援

(1)育児と就労の両立支援

就労支援としての保育事業は、子育てをしながら働く市民の関心が高く、オンブードのもとにもたくさんの質問や意見のメールが寄せられている。昨年度でも、報告書でかなりの紙面を割き、市民からの声をお伝えした。今年はそれらの声に対して、どのような対策が講じられ、また、成果を上げることができたかについて行政より聞き取り調査を行なった。今回の聞き取りは、4月の伊丹市組織改革で、昨年の児童福祉課から、こども室にかわり、取り扱う業務内容にも大きな変化があったため、「子育て支援担当」と「保育担当」の2つに分けて話を伺った。

(1)保育事業(No.54,55,56,57)
1999年1月1日に268名であった待機児童数は、2000年1月1日には300名と前回報告した。今年度の報告から「待機児童」の定義を厳密にしたようで、2000年4月で、求職中138名、内定19名、単親23名で、保育所入所を希望している児童数は、180名であるが、従来の「保育に欠ける」ための待機児童は0であるという報告がなされた。さらに、2001年2月1日現在で、386名の入所希望児童がおり、その内訳は、保育に欠ける52名、求職中216名、内定76名、単親42名である。保育担当の認識では、待機児童は「保育に欠ける」52名のみということである。
伊丹市内の保育所入所率は、2001年2月で1,620人の定員に対して1,809名が入所しており、充足率は112%である。(法的には125%まで可能)上記の「待機児童」への対策として、4月に長尾保育所で定員の60名増が実施されるため、解消されるとみている。また、2002年度には北保育所でも30名の定員増を予定しており、現在増築工事が進められている。

(2)子育て支援(No.58,120,121,122,123,130)
昨年度まで青少年課・女性政策課・生涯学習担当等が、独自に取り組んでいた子育て支援に関する事業が、「子育て支援体系」として整理され、「就学前児童の窓口の一本化」を目的として「こども室」が設置された。特に、女性政策課の管轄であった「ファミリーサポートセンター事業」や、青少年課の「子育て交流事業」、生涯学習推進担当の「子育て学習センター事業」等が、新しく子育て支援担当の所轄となった。
ファミリーサポートセンター事業は、仕事と子育ての両立支援として、市民からの期待も大きく、特に、延長保育や病児保育等、既存の施設では対応できない部分を補う、優れたシステムである。市内の保育所や児童くらぶへはもとより、パンフレットを各機関に配布し、PRに務めている。会員には「ファミリーサポートだより」を送付して、情報を提供したり、講習会や交流会を定期的に開催している。また、今年度は、「みんなのひろば」と題して、女性交流サロンを開放し、少子化や核家族化がすすむ中、孤立化をふせぎ、共に子育てを考える場を提供することにより、地域の活性化をめざすという、新しい取り組みもみられる。
特に依頼会員が加速度的に増加しており、市内の保育ニーズを顕著に反映している。協力会員はほとんどが女性であるが、夫婦での登録が3組ある。現在の「ファミリーサポートセンター事業」は就業家庭が対象であるが、今後は仕事をしていない人たちも対象とし、子育てのリフレッシュをはかってもらう計画であるという。
現在、就学前児童のうち、12%~13%が保育所、25%が幼稚園、60%が在宅の割合であるという。この60%にあたる在宅で子育てをする人々から、「親同士の交流」や「子育てによるストレスの緩和」が求められており、子育て支援担当で整備をすすめている。「育児サークルへの支援」や、近隣の公園への「出張保育」、公的な行事を利用した「お父さんへの育児参加の呼びかけ」等も積極的に行なっている。さらには、1月に「児童虐待防止市民ネットワーク会議」を設置し、子どもの虐待に対する相談・援助活動を行なっている。

これらの子育て支援担当の積極的な取り組みは、充分評価されるべきである。しかし、これらの在宅支援と同じく、仕事と育児の両立支援の一層の充実を望まずにはおられない。「待機児童」の再定義が何のために必要なのかを問いたい。内訳は「求職中」「内定」「単親」であろうと「保育を必要としている」ことに変わりはない。ならば、「待機児童」とみなして、早急な対応策を検討する姿勢が必要なのではないだろうか。
昨年度の保育事業に対する市民からの聞き取りの中に「同じ行政でも『働こう』というメッセージを出しているところもあれば、『働くな』というメッセージにしか読み取れない対応もあり、矛盾を感じる。」という意見があった。まさにこのあたりの市民への対応は、窓口担当者の消極的な現状把握の姿勢が表面化している例ではないだろうか。
さらに、待機児童の解消を、既存の保育所の定員増のみにたよるのではなく、
保育ママのシステムの導入や、ファミリーサポートの柔軟対応を検討してもよいのではないだろうか。伊丹の人口の自然増は2010年までとみられているため、ハードの建て増しをしても、いずれは空教室が増えるばかりである。また、保育所の建て増しやリニューアル期間中に、在園児やその保護者達がこうむる、精神的・身体的負担を充分考慮していただきたい。よりよい環境に向けての整備であるならば、忍耐も協力もおしまないが、児童の環境の悪化につながる忍耐を、人が好んでするはずはないということを、定員増をすすめるうえでは、意思決定機関の人々も行政担当者も胆に命じておくべきである。

(3)児童くらぶ(No. 59)
もうひとつ就労支援の柱として、小学校低学年を対象とした「伊丹市立児童くらぶ事業」の制度がある。保護者の就労等により、昼間家庭において適切な保育を受けられない児童(小学校1~3年生)および障害のある児童(小学校1~6年)を対象として、放課後及び春夏冬休み等に開設し、自主学習や遊びを通じて生活指導を行なっている。現在伊丹市内17小学校の余裕教室に設置されており、2000年度の入所児童は728名であった。
入所希望者は年々着実に増加しており、開発の進む北部にある天神川小学校では、増改築を行ない、専用教室の確保を行なった。また、南小学校では、児童くらぶに隣接して、高齢者を対象にしたデイサービスセンターが設けられ、児童と高齢者の交流がはかられている。
各児童くらぶの定員は40名であり、2人の嘱託の指導員が配置されている。それ以上の受け入れの場合や、障害を持った児童の受け入れをする場合は、指導員の加配が行なわれており、今年度は7名の加配があった。指導員は公募であり、過去1名の男性指導員がいたが、現在はすべて女性である。7名の指導員からなる「プログラム検討委員会」があり、学期1回の定例会とは別に、自発的に月1,2回集まり、研修を重ねている。
現在に至るまで、待機児童はなしということであったが、着実に入所希望者は増加しており、従来通りの受け入れ体制はもとより、充分な指導員と充実した保育環境の整備が今後の課題となるであろう。また、この経済状況を反映して、親が突然働かざるをえない様な状況になった場合、年度途中からでも入所可能な受け入れ体制の弾力化が必要である。現在のところ、学校のない第2,4土曜日や、学校閉鎖時には児童くらぶが閉所となっているが、このあたりの見直しの検討も望まれる。


(2)女性の起業支援事業(No.66,67,68)

昨年度の報告書では、女性起業家制度について、実際起業された女性達からの聞き取りも含めてお伝えした。「女性の自立と社会参加を促進する分野を広げ、女性のエンパワーメントにつなげるとともに、地域貢献型起業を誘導する」という目的で1996年に創設されたこの制度も、今年度をもって終了する。
5年間で4件の起業実績がある。4件の事業所のうち、高齢者・障害者向けのデイサービスを提供していた「君住む街」さんが閉所したが、3件の方々は、独自の販路を開拓したり、顧客を獲得したりしながら、努力を続けておられる。
今回の調査では、障害者を雇用した染色工房「ノビイ」の前田さんから、お話しを伺うことができた。彼女の事業のコンセプトは、「障害者だけでなく、様々な理由から、家庭にこもっている女性の隠れた才能を外に出して、社会に能動的に働きかけたい」ということである。現在ノビイではスタッフが30名ほどおり、そのほとんどが女性である。作家はすべて在宅女性であり、前田さんは作品を回収するため個々の家を訪問し、そのスタッフ達の思いを受け止めることに多くの時間を割いている。クチコミや友人の紹介で、他府県にも販路をひろげ、秋には六甲アイランドで日米婦人団体が主催する会への出品を予定している。これを期に海外の進出へも取り組みたいと意欲的である。自立した女性のモデルとして、今後の活躍を期待してやまない。
官民の産業振興拠点を一元化する目的で、2001年4月2日に宮ノ前に「産業・情報センター」がオープンする。それにともない、この女性起業家制度も、今後は「伊丹市中小企業融資制度」に一本化される。「産業・情報センター」では高齢者・学生・女性を広く対象にした、講座・相談・融資を展開し、ニーズに応じて変化させていくという。
元来「女性起業家融資」は「銀行などから融資を受けにくい」という女性を対象にしていた。一般の融資制度に移ることで、女性の心理的壁は相当高くなることが予想される。今後、高齢者や学生も含めた一連の事業を展開していくということであるが、「『起業するまで』より『続けること』がもっと大変」という女性起業家の方々からの教訓を是非生かして、本当に必要とされている支援策の検討が必要である。


(3)企業への取り組み(No.43, 44, 45,46,47,48,49)

昨年度は企業に対する女性施策の取り組みについて、調査ができていなかったため、今年は労政課から「雇用労働の場における男女平等の推進」について聞き取りを行なった。
行動計画の中では、「雇用の場での男女平等を推進するため、関連機関との連携を図りながら、市民、企業、労働者組織などへの啓発を進める。」とある。啓発については、昨年度は男女共生社会推進担当が発行している「でるくいー」や広報を関連施設や企業へ配布しているのみである。また、女性の雇用促進については、労働省の管轄であり、当事者能力はないとのことであった。パート労働者の説明会のための場所提供という形での支援にとどまっているのが現状である。
また、市民相談室および、婦人児童センターで定期的に労働相談を行なっており、昨年末までに、約40件の相談を受けている。1997年度以降の相談内容を見ると、「退職・解雇」「賃金」「雇用保険」について多く相談を受けているが、雇用主からの相談が主であるという。
今年度実施される予定であった「女性労働の実態調査」は、現在調査中であり、今回の報告では結果を報告することができないのが残念である。事業所に送られた調査アンケートの中で、女性の雇用について聞かれているのは、「女性の雇用について積極的かどうか」「育児休業制度があるか」「育児休業中に賃金の支給はあるか」「セクシャル・ハラスメントについて対策を講じているか」の4項目にすぎず、働く女性が何を求めているかという、根本的な問題まで踏み込んでいない。
以下は、私達オンブードに寄せられた、市民からの切実な意見である。就労形態が多様化する中、女性達が何を求めているのか、実情を踏まえて、具体的な対策立案に役立てていただきたい。

(問)あなたが仕事で能力を発揮するために、何が必要だと思いますか。未就労の方は、就労するにために、何が必要だと思いますか。(・・・以下は、回答者の就労形態を示す)

・子どもを預ける所または人(保育所・幼稚園の延長保育・小学校の学童保育・ファミリーサポート・父母の協力)/就労者の責任感・技術・資格力/企業側の柔軟な採用条件(年齢制限をはずすこと・ワークシェアリングの導入)・・・未就労
・サポート体制として病児保育/女性の起業に対する助成システム/一緒に仕事をすることができるスタッフ・・・自営
・仕事に対する前向きな姿勢・・・常勤
・個々の能力を認め、発揮することを認識した職場環境。特に直属の上司、及び店主などの責任者の意識/能力に応じた評価(給与面、対応)/上司のリーダーシップ・・・パート
・子どもが小さいうちは家にいて当然、働いているなんてすごい、という世間の風潮がなくなり、就労率が性別や年齢に関係が無いようになること/出張や残業が必要なとき、子どもの世話を、ごく近所で、急でも気がね無く、安価で見てくれる制度(ファミリーサポート等)/ファミリーサポートの会員がもっと増えること(ごく近所にはいない)・・・常勤
・本人のやる気(ただし、「自分や家庭を犠牲にしてでも頑張る気持ち」が必要とは思わない)/男性も女性も自分や家庭を犠牲にしなくても仕事ができる環境/全てを犠牲にして仕事をすることを求めない職場(社会)/これをサポートする社会の体制・制度・・・常勤
・チャンスを与えてもらうこと。若いから、初めてだからなどといわずに、やらせてもらう場を与えてもらうと経験が力になる・・・常勤

(問)仕事を続けていくためには、職場に何があったらいいと思いますか。

・職場の理解と協力(子どもがらみの欠勤・早退・遅刻にあたたかい目を。会社を独身男女と既婚男性の偏ったものにしないで。)・・・未就労
・安価なスモールオフィスとスタッフ・・・自営
・家庭事情への柔軟な対応。今の会社の決まり事はほとんど男性中心で、厄介な家庭事情などは女性がするべきと男性は押し付け、でもそのために会社を休むとそれは困るという体制である。お父さんが家庭に目を向けられる余裕のある勤務体制をしてほしい・・・常勤
・やりがい/上司の充分な理解/相応な給与/評価・・・パート
・職場に保育所や児童くらぶがほしい/有給がもっとたくさんほしい・・・常勤
・男性を職場に長時間拘束しないシステムと職場雰囲気。毎日深夜まで帰れない男性(父親)を作っている会社(社会)システムが問題。これは、女性が仕事を続ける一番大きな障害であり、専業主婦の育児ノイローゼの最大の原因ではないだろうか。/男女にかかわらず育児(介護)のために仕事を融通できる制度と職場の雰囲気。上司や同僚の理解/強制的に男性にも育児(介護)時間を取らせるシステム。北欧のように育児休暇の一部は男性が取ることを義務化する。男性が育児を経験したり、同僚男性が育休を取ることを職場が経験すれば皆の意識が変わる。・・・常勤
・休みやすい環境。休んでいいよという周囲の気持ちがとても支えになる。育児休暇だけでなく、学童期の子どもがいる人には、参観日やPTA参加のための学童休暇がほしい・・・常勤
未就労の方からは、「職業訓練の機会」と「情報」「採用の際の年齢制限の廃止」が、就労者からは「育児や家庭環境への職場の理解」と「育児へのサポートシステム」が切望されている。また、フリーランス(自営)の方からは「女性の起業への助成」が求められている。
担当課として、企業への直接的指導権限がないのであれば、せめて積極的な啓発の取り組みをすべきである。また、女性の積極的な採用や、女性が働きやすい職場環境整備に努力している企業には、表彰制度を設けて世論にアピールする試みもおもしろい。また、現在行なわれている労働相談も、もっと市民に知ってもらう努力をすべきである。オンブードのもとにさえ、たくさんの労働相談がよせられるのであるから、課の広報努力の怠慢を指摘せざるをえない。
アメリカには、「カタリスト」というNPO組織があり、女性の社会進出に寄与している。日本でも、それにならって、1月21日に「女性と労働研究所」を母体としたW.I.A.J.( Women' s Initiative for Advancement in Japan)が設立されたばかりである。担当者は、従来の枠組みの中でのみ仕事をせず、新しい取り組みを学習し、伊丹市にも取り入れていただきたい。

 

第3部地域と福祉

(1)地域活動と女性の参加

(1)女性部会(No.24,112,113,114)
伊丹市には現在207の自治会があり、その自治会長からなる組織として「自治会連合会」がある。現在会員は201名であり、そのうち19名の女性自治会長が「女性部会」を結成している。8月1日に活動方針を決め、その後、2ヶ月に1回、情報交換と勉強を目的とした会合を開いている。今年度の学習会の議題として、「不法投棄等の環境問題について」「迷惑駐車対応について」「青少年の非行への対応について」が取り上げられている。また、11 月には「出前講座」を要請し、男女共生社会推進担当から講師を招き、「地方分権における男女共生社会の推進」について学習会を行なった。
自治会の活動は、地域によって様々で、会長の選出も、最近は抽選や持ち回りが増えているという。現在の201名の会長中、101名が今年度新しく会長に就任した方である。自治会は世帯単位の加入であるため、役員などへの就任は、世帯で受けて、世帯主が登録されるものの、実際は別の人間が活動することもよくあるという。(夫がうけて、妻が活動する実態が見受けられる)
自治会活動では、新住民v.s.旧住民の壁や、世代間の断絶、明らかな男女差別等の問題があるときく。PTA会長には男性が、そしてPTA役員には働いていない女性がなるという構図は、だんだん崩れつつあるが、自治会では「地区社協とのからみで会長が男性でないと力関係で負ける」という実例があると報告された。「おかしい」と発言すると「じゃあ、あんたが(会長を)やれば」と返ってくるということであった。市民の皆様にはこれからは、「受けてみる」ことをおすすめする。もはや約半分が年度毎にかわる会長制度である。従来の在り方が問われているのなら、自分達がやりやすいように変革していく努力をするべきではないだろうか。「ポジションが人を作る」という。活動や仕事を通じて、それにふさわしい人が作られるのならば、その努力に対していつまでも後込みをするべきではない。女性部会が、質実ともに充実することを期待している。

(2)地域の活動拠点としての共同利用施設(No.121,115-117)
共同利用施設の運営は、自治会活動とも密接な関係がある。伊丹市には共同利用施設が73館あり、そのうち67館は自治会が管理運営委員会を立ち上げ、その自主管理にゆだねられている。
特に、調査をしていて、子育てグループや、保育所の保護者から、「子どもは汚すから」とか「ここは勉強の場ですから」という理由で、共同利用施設が貸してもらえなかったという苦情が寄せられた。「伊丹市共同利用施設等管理運営要綱」の第2条(3)には「市民の全てが利用できる総合的な多目的施設である」と明記されている。鍵を管理している人間の主観で、利用可否を決定してはならないはずである。またそういう苦情に対しては、市は毅然とした態度で、なんらかの指導を行なうべきである。地域での人間関係があり、なかなかそこに住む当人たちには言いにくいことがあるはずだ。窓口担当は情報収集に努め、地域住民相互間の調整役を担わねばならない。
2 月5日に竣工式が行なわれた北園の「北村交流センター」は、老人福祉施設「ぐろ~りあ」や北保育所と同じ敷地内にあり、幅広く地域コミュニティ活動や多世代間の交流事業に利用されることを目的としている。間違っても前述した苦情のような事例が起こらないよう、行政窓口は管理指導を徹底的にやっていただきたい。神戸市は地元の文化施設の管理運営を委託するNPOを募集した。(2001年3月9日毎日新聞朝刊)「NPOを中心に幅広い分野の活動に利用してもらうため」であるという。先駆的な他市の例も参考にしながら、子どもから高齢者まで、幅広い層に親しまれる施設となるよう、柔軟な運営組織づくりを早急に整備すべきである。


(2)介護保険とケアワーク (No.75,77-79,82)

伊丹市は高齢者割合が13.1%であり、県内では3番目に若い市である。従前より、伊丹市の高齢者施策はよく、県内では先進市と言われている。しかし、特別養護老人ホームへの入居待機者は80~100名程度と見込まれている。介護保険制度が出発して以来、待機者を特定することが困難になり、実態把握をしにくい状況がある。また、介護保険に関わる市民の苦情相談の窓口としては9カ所の在宅介護支援センターと市役所があるが、1999年度には認定に関わる苦情が多く、
2000年度には実際のサービスと保険料に関する苦情が多かった。したがって、上記した入居待機に関わる苦情は目立っていないが、介護と保育は依然として女性の社会進出を阻む最大要因であるため、現在は潜在化している要求を掘り起こす必要がある。
2001年には新たにオープンする施設が予定されており、待機状態の緩和が予想できる。なお、老人保健施設は不足しており、2001年度に120床、2002年度には 100床の増床がみこまれている。
ところで、介護保険制度がスタートして以来、ケア・ワークにつく人が増え、その圧倒的多数が女性である。そして、概してケア・ワークは低賃金でもある。介護保険制度により生まれた新たな女性問題と言ってもよいかもしれない。伊丹市の社会福祉事業団では370名の職員数のうち、250名が臨時職員であり、そのほとんどは女性である。今回のオンブード調査ではこれらの人々の実態を調べるまでには至らなかったが、今後、気にかけるべき問題である。
2000年度にオープンしたk-メゾンは新しいタイプの特別養護老人ホームとして注目されている。地域住民と介護を必要とする高齢者を結ぶ工夫がなされており、要介護高齢者のためのみならず、近隣に暮らす人々にとって良好な影響を与えているようである。ところが、地域で暮らす健康な高齢者に向けた、さまざまな行事や講座、クラブ活動などに参加する人々は圧倒的に女性に偏っているという問題点も見えてきた。もともと、高齢者のうちでは女性比率が高いため、さまざまな行事などへの参加者が女性に偏ることは当然ではあるが、男性の参加者が少なすぎるのである。もっとも、コンピュータ、囲碁、ビリヤードなど従来より、「男性的」と思われてきた講座やサークルなどには男性が多い。それらを勘案しても、全体として男性の姿が見えにくい。男女共同参画社会を形成するためには、このような新しい問題にどう取り組むのか課題である。
以上のような、未だ明確には把握できない問題はあるものの、介護保険制度が出来たことにより、介護に対する人々の意識がかわりつつある。介護保険の担当者によると、介護保険を利用する人々がサービス受給を権利として意識しはじめたという。この変化は施設入所を「恥」とする感覚を取り除く方向に働いており、いわゆる「家族共倒れ」を防ぐ効果がある。もっとも、個別の例によると、施設入所した高齢者の家族が近所の人から悪し様な扱いを受けたという報告もある。介護保険の趣旨についての啓発をいっそう進める必要がある。

 

第4部女性施策

(1)委員会等への女性登用(No.109,110)

国の「男女共同参画基本計画」(2000年12月)においても、女性登用は重視されており、2005年までのできるだけ早い時期に審議会等委員の30%を女性にすることが目指されている。「伊丹市女性のための行動計画」(1996~2005)では「計画の終期までに、市長に選任・任命の権限のある特別職、行政委員に30%以上の女性を登用することを目指す」としている。2000年4月1日現在の伊丹市の状況は、各種委員会等委員の女性登用率は43.9%である。内訳は行政委員会が2.7%(昨年度5.4%)、法律等に基づく委員会(社会教育委員、民生児童委員)が72.3%(昨年度72.3%)、法律・条例・規則・要綱・要領に基づく委員会等が32.9%(昨年度30.9%)である。昨年度比較でみると、行政委員会が2.7ポイント下がり、法律・条例・規則・要綱・要領に基づく委員会等が2ポイント上がっている。総計では昨年度とほとんど変化がなく、その前年と比べても変化がない。また、昨年度のオンブード報告においても指摘したことであるが、女性委員が就く領域に偏りがあることは一向に解消されていない。
ここ3年間に変化がなかったというより、進歩していないというべきであろう。市をあげての早急な対処が必要である。伊丹市の「女性『町衆』講座」は過去に優れた実績をあげており、今後も講座をよりヴァージョンアップさせる、市民による事業を支援するなどの施策により女性の人材を育成すること、また人材発掘をいっそう丁寧に行うことなど工夫が必要である。


(2)伊丹市の女性登用(No.19)

伊丹市の管理職への女性登用は以下の通りである。市長部局では女性の部長、次長はゼロであり、課長が86名中1名(1.2%)、副課長が100名中4名(4.0%)、係長が353名中79名(22.4%)、管理職計では585名中84名(14.4%)である。その他職員では440名中女性は208名(47.3%)であり、その他の職員の男女比と管理職の男女比をくらべると、管理職についての女性登用が低率であることは歴然としている。
教育委員会では、女性の部長、次長はゼロであり、課長は18名中1名(5.6%)、副課長は30名中14名(46.7%)、係長は75名中20名(26.7%)で管理職計では 129名中35名(27.1%)である。その他職員では194名中113名(58.2%)が女性であり、市長部局より女性登用はすすんでいるものの男女の格差は大きい。
市長部局、教育委員会以外のものでは、部長6名中1名(16.7%)が女性、次長28名中2名(7.1%)、課長34名中5名(14.7%)、副課長29名中3名(10.3%)、係長189名中27名(14.3%)であり、管理職計では286名中38名(13.3%)である。その他の職員では568名中300名が女性である(52.8%)。専門職では行政職より女性登用がすすんでいる。
以上を昨年度と比較すると、機構改組のため正確な比較はできないが、管理職計では女性比率の数値が若干上がっているものの、女性は下級管理職に偏り、上級管理職ではむしろ低下している。
2000年度の主査への昇任試験合格者は14名中5名が女性であり、副主幹では 12名中2名が女性である。これらの人々の年齢があがった時点で、女性の管理職比率もあがるはずであり、将来的には男女格差解消に向かうものと思われる。また、消防士について1999年と2000年ともに2名づつ計4名の女性が就任している。交通局においては1名の女性をバス運転手として採用している。
女性消防士は伊丹市のケーブルテレビで、バス運転手は新聞で紹介された。男女共同参画の視点からいえば、保健士(男性)1名が採用されている。このような人々の存在を効果的に市民に知らせることで、それに続く人が出てくると思われる。また、子どもにとっては格好の男女共同参画モデルとなる。中学生用の「進路指導資料」などに、盛り込みたい。


(3)女性のための行動計画の見直し(No.139,142)

「伊丹市女性のための行動計画」は1996年に策定され、2005年までを計画範囲としている。計画策定当初より計画の中間年である2000年度に見直しをすることが予定されていた。さらに、1999年に男女共同参画基本法ができ、2000年末には国の方針として「男女共同参画基本計画」が示されたため、伊丹市においても女性政策懇話会を設置し、目下、計画の見直しを行っている。
女性政策懇話会は委員10名中2名の公募委員枠があり、7名が応募した。この2名の公募委員のほかに、依頼により就任した市民2名を加えた計4名の女性市民が委員として参加している。女性市民による計画策定という意味で、同懇話会は望ましい状態にある。その他に、計画見直しの資料として市民アンケートを実施中である。
市民アンケートは1996年に実施したものが直近過去であり、女性のための行動計画を現実的なものにするためには是非に必要とされる。しかし、調査には予算がついていない。よい計画の策定はよい調査、正確な現実把握の上に成り立つ。一般に行政施策の遂行には、実態把握→施策策定→実行→チェックを循環させる必要があるが、女性施策についても同様である。女性施策市民オンブードの立場からは、この循環を円滑に行うことをいっそう強く求めたい。


(4)女性施策市民オンブード(No.137,138)

行政が設置したオンブズマン制度としては、たとえば川崎市の「市民オンブズマン制度」が有名であるが、女性施策にかかわってのオンブズマン制度としては伊丹市の女性施策市民オンブードが全国唯一である。そのため、伊丹市の女性施策市民オンブードは女性施策に関わる先進的な事例として、たとえば船橋邦子による著書や、『晨』Vol.19,No.7(2000.7)、朴木佳緒留「阪神間自治体の女性施策の展開」『女性労働研究』No.37(2000.1)などで紹介された。また2000年6月の日本社会教育学会6月集会でも同制度について報告が求められ、朴木が報告した。さらに、2000年5月25日には白神が「エフエムいたみ」に出演し、オンブードの仕事などについて報告した。以上のように、伊丹市女性施策市民オンブードはメディアや学会で注目されている。伊丹市は女性施策市民オンブード制度をもっていることに、もっと誇りをもってよいと思われる。
しかしながら、オンブードについての伊丹市民の関心は強いとは言えず、オンブードの存在さえ知らない人々は多いようである。伊丹市女性施策市民オンブードとしては、本制度発足4年目にあたって若干の自己評価をすることにより、制度充実のための方向性を探っておきたい。
まず、2000年度の女性施策市民オンブード調査としては、2000年4月9日に「伊丹市女性フォーラム」にて1999年度の女性施策進捗状況について報告した。その後5月23日に雑誌『晨』のインタビューを受け、同日、2000年度のオンブード調査の計画を練った。6月3日には、今年度からはじめて試みた女性市民(ダンボの会)へのヒアリングを実施し、伊丹市の女性施策や女性問題(ジェンダー問題)全般について市民の声を聞き、6月17日には、先述した日本社会教育学会での報告を行った。8月31日には、DVについての学習会を主催し、同時に伊丹市の現状について女性市民の意見を得た。また2001年1月31日には k.メゾンを視察した。
以上の他に、オンブード同士での意見調整やメールを用いて市民からの情報提供を受けたり、意見交換を行い、2月14、15日に伊丹市の女性施策の進捗状況についてヒアリングをした。さらに、本年度には市民からの情報提供や意見を得ることを目的として、「オンブード連絡箱」を市役所と女性交流センターに設置した。しかし、この「連絡箱」には意見等は1件もなく、結果としてこの試みは成功しなかった。
以上がオンブード調査の実施状況概要であるが、これらの活動で十分な調査ができたとは思っていない。率直に言って、調査不足である。年度当初には、調査活動を少なくとも月1回は行う予定であった。しかし、結果として実行できていない。その原因はオンブードの努力不足もあるが、もともと非常勤のオンブード2名では女性施策進捗状況を調査するための範囲は限られていると考える。例年1月に行っている女性施策の進捗状況把握のためのヒアリングを実りあるものとするためには、オンブード自身が恒常的に伊丹市の状況を調査し、勉強しておく必要がある。女性施策が覆うべき範囲は広く、したがってそのすべてを対象にできないため、実際には特定のテーマをたてて調査するしかないというのが現状である。
限られた範囲内での調査とそれに基づいたオンブード報告を質量ともにレベルアップするためには、オンブード人数を増加する、またはオンブードを補助する調査員を新設する(1998年調査では臨時に調査のための補助員をおいた)、またはオンブードを専任にするなどの方策が必要である。
2000年度の経験によると、女性市民との対話が大変、有益であった。今後はメールなどを利用したオンブードと市民をつなぐパイプの設定も工夫したい。そのためには、オンブードの存在や意義を市民に周知する必要がある。2001年度より、オンブード調査結果をHPに掲載する予定であり、市民とオンブードのパイプが現在よりは強まるものと思われる。そのためにも、市民に対するオンブードについての周知が、直近未来の課題であると考える。全国唯一の女性施策オンブード制度をもっていることについて伊丹市は誇りに思い、宣伝すべきであろう。

結びにかえて

2000年度の伊丹市女性施策市民オンブード報告は昨年度に引き続き白神利恵と朴木佳緒留が担当した。両名ともオンブードとしては2年目にあたり、それなりにオンブードとしての仕事を心得てこの1年間を過ごしたつもりである。しかし、両名とも昨年度に比較して本務が超多忙となり、意図したとおりの調査を行うことはできなかった。
したがって、本報告書は両名にとって満足するものではない。しかしながら限られた範囲内のものではあっても、女性の社会参画の障害となる点については押さえたつもりである。
本年度は男女共同参画社会基本法が制定され、また介護保険制度もスタートし、従来になく女性施策に関する根幹が変動した年であった。伊丹市は全国唯一の女性施策に関わるオンブード制度をもち、また高齢者福祉も県内では有数と評価されるなど、先進的な自治体である。しかし、オンブード制度は市民にそれほど知られておらず、高齢者福祉にかかわる市民意識にも未だ古い観念が残されているなどの問題がある。せっかくの先進的な取り組みを十分に生かすには、なお克服すべき課題があると思われる。
また、「女性『町衆』講座」などかつては注目された取り組みも、リニューアルする時期に来たようである。伊丹市の機構改革に伴い女性政策課が男女共生社会推進担当となったが、女性施策にも新たな風を吹き込む必要がありそうである。
最後になったが、本年度報告をまとめるにあたってオンブードを影で支えて下さった市民の皆様に感謝を申し上げたい。ここで逐一、お名前を出すことはできないが、夏の暑い時期にオンブード主催の会に足を運んで下さった皆様、またオンブードの視察や調査に快く応じて下さった方々に改めて御礼を申し上げます。

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