「伊丹市と公立学校共済組合による共同調査研究事業の中間報告について」の説明会の開催結果報告について

更新日:2021年03月31日

日時・場所・参加者

第1回

日時:11月23日(土曜日・祝日)10時~11時

場所:きららホール(北部学習センター) 3階多目的ホール

参加者:10名

第2回

日時:11月25日(月曜日)18時~20時40分

場所:ラスタホール(生涯学習センター) 2階多目的ホール

参加者:33名

第3回

日時:11月30日(土曜日)14時~15時30分

場所:中央公民館 1階大集会室

参加者:30名

 

 

質疑応答の概要

第1回

問1 高度急性期、急性期や新生物を具体的に説明して欲しい。

(答) 高度急性期、急性期とは、病状が急激に悪化し、早期安定化に向けた治療が必要な状態を意味しています。例えば集中治療室のように、集中的に全身管理に基づいた治療が必要な状態をイメージしていただければ、わかりやすいと思います。
新生物は、いわゆるがんのことです。

問2 高度医療の提供とあるが、どのような医療体制を目指すのか。

(答) 例えば循環器系疾患であれば脳卒中や心筋梗塞については、日中の時間帯は対応できておりますが、循環器系疾患に対応出来る医師が足りず、夜間救急になると人員体制が弱くなり、市外の病院に頼らざるを得ない状況です。2病院が統合することで、人員体制を強化し、より高度な救急医療を提供できる体制を構築したいと考えています。

問3 共同調査研究事業の中間報告の説明を行うまでの経緯を教えて欲しい。

(答) 昨年度、市立伊丹病院のあり方検討委員会を設置し、検討委員会から、「近畿中央病院と市立伊丹病院は統合し、500~600床規模の基幹的な病院を目指すべき」というご提言をいただきました。
今年度、この提言を踏まえ、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合の可否を検討するため、伊丹市と近畿中央病院の設立母体である公立学校共済組合が共同で、医療需要予測、必要となる医療機能、病床規模ごとの収支シミュレーション等について調査研究事業を実施しております。
本日は、その共同調査研究事業の中間報告として、医療需要予測と病床規模、建替えの候補地等について、検討状況をご説明させていただいております。

問4現地建て替えを行う場合、土地を確保できるのか。

(答) 既存の市立伊丹病院の病床数は約400床ですが、必要となる病床数は約600床であり、1.5倍の規模となります。
現在の病院の医療提供を継続しながら現在地で建て替えを行うためには、現在の病院敷地を拡大する必要があるため、病院北側にある市有地(老人ホームの土地)等を活用する方向で調整を進めております。

問5 統合した場合、近畿中央病院はどうなるのか。

(答) 2つの病院が統合し、市立伊丹病院の現在地に、新病院が建設された場合、両病院の医師等をはじめ、医療に従事する人材が1カ所に集約することになります。
そうなった場合、現在あった場所から近畿中央病院がなくなってしまうことになりますが、病院を残して欲しいという声も伺っているところです。不足する診療機能の充足につきましては、市内全域のバランスを考慮しつつ、回復期病床の確保と合わせて、検討を進めていかなければならないと考えております。

 

 

第2回 

問1 新機能(高度急性期~急性期)の充実として、市内完結率80%と設定することの理由について具体的に教えて欲しい。

(答) 患者自らが専門病院を選択されて市外に行かれる場合や、緊急時における患者の容態や医療機関において救急患者の対応中といった場合には、市外へ救急搬送されることもございます。兵庫県内の圏域全体における高度急性期、急性期の完結率の平均を見ますと、約80%という状況があり、統合した場合における新病院においても、市内完結率80%を目指し、必要となる病床数を算出しているところでございます。

問2 市内完結率80%を本当に確保することができるのか。

(答) 現状では、日中の時間帯においては救急の受け入れは対応可能でありますが、夜間の対応が難しい状況にあります。市内完結率が低迷している主な要因は、循環器系疾患に対応出来る医師の確保が追い付かず、夜間においては救急体制の構築が困難であることから、市外の医療機関に頼らざるを得ない状況にあることです。2つの病院が統合し、医師等をはじめとする医療に従事する人材を1カ所に集約することができれば、24時間の救急体制・診療体制を構築し、市内完結率80%に近づけることが可能になると考えています。

問3 本日の参加者が少ない状況にある。説明会のチラシを全戸配布することや、説明会の対象者を市内在住、在勤、15歳以上などの制限を設けず、申込みを受付するなど工夫をすべきではないか。

(答) これまで、市民説明会や出前講座、シンポジウム等において、市民の皆さまとの意見交換を行ってきました。その中で多く寄せられたご意見やご質問としまして、統合した場合の新病院の「病床規模」がどのようになるのか、またその「立地場所」は何処になるのかでありました。そのような中、10月の市議会における特別委員会におきましては、「病床規模」と「立地場所」についての中間報告をさせていただき、その際に使用した資料をホームページにも掲載しております。また、その概要が新聞報道等でも取り上げられました。
説明会開催に係る市広報等による周知方法については、今後も、より分かりやすい情報発信に努めてまいります。

問4 新病院が良い病院になることを期待している。新病院が高度急性期病院を目指し、良い医療機器、医師を確保すれば市外から患者が流入する可能性を考慮したうえで、600床規模で対応できるのか検証をして欲しい。

(答) 国民健康保険および後期高齢者医療保険のレセプトデータを使用し医療需要調査を行い、1.医療機能の充実により必要となる病床数、2.現在の2病院で入院されている高度急性期、急性期のすべての患者の受け入れに必要となる病床数、3.回復期状態へ移行段階にある患者に継続して医療を提供するために必要となる病床数をそれぞれに積算し、約600床と試算しております。約600床であれば、将来を見据えた医療需要や、市外からの受け入れ患者数の増大に対しても対応可能であるという試算結果となっています。

問5 資料の中にある3.回復期患者への対応とは、市が新たに回復期病床をつくるということか。

(答) 市が新たに回復期の患者を受け入れるための病床を作るという意味ではございません。
公立病院・公的病院の果たすべき役割は、高度急性期・急性期への対応や、周産期医療や小児医療等の不採算医療を担うことにあります。しかしながら、高度急性期・急性期の状態で受け入れた患者が重い症状のある急性期状態を脱して病状が安定し回復期へ移行していく状況となっても、しばらくは継続して医療ケアが必要となりますことから、このような回復期状態へ移行段階にある患者に対しても、しっかりと医療を提供していくための病床を確保していこうということでございます。

問6 新病院建設にかかる事業費の規模はどの程度になるか。市の財政は大丈夫なのか。

(答) 市財政の健全化のためにも、病院事業の安定した運営は不可欠です。そのため、統合パターンごとの収支シミュレーションを実施し、いずれの統合パターンが、安定した病院運営を実現させることができるのかを検証しているところです。この検証結果および事業費の規模については、12月下旬に議会で報告する予定としております。

問7 地方独立行政法人化せずに公立病院として残して欲しい。統合した場合、経営形態はどうなるのか。

(答) この度の共同調査研究事業では、伊丹市に必要とされる医療提供の実現や、公立病院としての役割を将来にわたっても継続的に果たしていくために、いずれの経営形態が相応しいのかについても検討を進めております。この検討結果につきましても、12月下旬に議会で報告する予定としております。

問8 基本方針が決まる前に、市民に説明をして欲しい。

(答) 12月下旬に共同調査研究事業の検討結果、それを踏まえた市立伊丹病院の今後の方向性を示す基本方針の案を議会に報告する予定です。その基本方針案に対し、1月上旬から2月上旬にかけて、パブリックコメントによって市民の皆さまからご意見をお伺いし、その期間内においても、市民説明会を開催し、ご意見をお伺いしたいと考えています。

問9 現在、近畿中央病院で診療を受けており、近くから無くなることは困る。跡地に市立伊丹病院の分院を設立するなど、南部になんらかの診療機能を残すよう、市が率先して取り組んで欲しい。

(答) 伊丹市の地域医療提供体制が抱える課題への対応として、不足している循環器系疾患やがん等に対応するため、2病院の医療資源を集約化することで、救急体制の強化を図り、住み慣れた地域で必要な医療を安心して受診していただけるよう医療提供体制の構築に取り組んでいきたいと考えています。診療機能の不足に関しては、市内全域のバランスを考慮しながら、不足する病床機能の充足と合わせて、公と民の適切な役割分担のもと、対応策の検討を進めてまいります。

問10 伊丹市内に高度な医療を提供できる病院ができることは賛成であるが、回復期病院を確保することはできるのか。回復期等の充実も重要であるため、その取り組みも重視して欲しい。

(答) 不足する回復期病床を確保していくことは、患者の状態に応じた適切な医療を、切れ目なく提供していくために、重要な課題であるものと認識しております。2病院が統合することとなった場合、民間の医療機関との適切な役割分担のもと、回復期病床の確保について、検討を進めていきたいと考えております。

問11 南部から市立伊丹病院に向かう市バスでのアクセス、利便性を向上させて欲しいという市民の意見をしっかりと聞いて欲しい。

(答) 現在、市立伊丹病院の現在地を、統合した場合の新病院の立地場所の最有力候補として検討を進めておりますことから、近畿中央病院で診療を受けておられる市民の皆さまから、アクセスの向上を求める声があることは、これまでの意見交換においても十分認識しているところでございます。引き続き、検討を進めてまいります。

問12 統合ありきで進めているのではないか。

(答) 昨年度の「市立伊丹病院のあり方検討委員会」の提言を踏まえ、今年度は、伊丹市と公立学校共済組合との間で、共同調査研究事業に取り組み、本当に統合すべきか、統合できるのかについて、検討を進めているところでございます。

問13 我々の集めた署名や説明会で述べた意見は検討内容にどのように反映されるのか。

(答) 市民の皆さまから頂きました様々な貴重なご意見を勘案しながら、基本方針案の取りまとめを現在進めております。

問14 地域医療体制の構築について、伊丹市単独ではなく、県や国も動くべきだと思う。県や国に対して働きかけを行っているのか。

(答) 兵庫県に対しては、阪神北圏域において、高度急性期機能を担う県立病院を建設して欲しいという要望を、阪神間の3市1町(伊丹市・宝塚市・川西市・猪名川町)で行いましたが、県からの回答は「要望に応えることは難しい」という内容でした。その後、伊丹市と同じく公立病院を運営する川西市、宝塚市との連携を模索しましたが、川西市は指定管理者制度での運営方針を決定され、宝塚市は現状の厳しい経営の立て直しを最優先課題として位置付けられました。そのような中、再開発事業計画の見直しを決定された近畿中央病院と連携協議開始の協定を結び、現在の統合の可否の検討に至っております。

問15 近畿中央病院の果たす役割は何なのか。

(答) 近畿中央病院の設立母体である、公立学校共済組合では、「地方公務員等共済組合法」に基づき、地方公務員である教職員を主とした組合員に対する短期給付事業・長期給付事業・福祉事業を行っています。このうち、福祉事業の一つとして、組合員とその家族に直接医療を提供するとともに、健康の保持増進を目的として医療事業が行われており、現在は公的医療機関等として地域医療にも貢献されている状況です。

問16 パブリックコメントの質疑に対する回答を、ホームページで公表して欲しい。

(答) 質疑に対する回答につきましては、ホームページで掲載する予定でございます。
 
問17 厚生労働省が地域医療構想に関するワーキンググループにおいて「再編統合の議論が必要」とした424の公立・公的病院の実名を発表したが、なぜ市立伊丹病院と近畿中央病院は該当していないのか。

(答) 今回の公表においては、人口100万人以上の圏域が一旦対象外とされております。伊丹市が属する阪神圏域については、人口が約170万人であることから、今回の対象から外れています。

問18 今回の説明会に対する質疑応答の記録を公表して欲しい。

(答) 説明会に対する質疑応答の記録については、広く市民の皆さまに事業の方向性、検討の進捗状況をご理解いただくことを目的として、その概要についてホームページで公表していく予定でございます。

第3回

問1 病院建て替えにかかる財源は確保できるのか。

(答) 病院の建て替えは、莫大な財源を必要としますが、この財源は借入金で調達します。つまり、この借入金の返済を病院の収入で賄うことができるのかが重要なポイントになります。
そのため市では、統合パターンごとの収支のシミュレーションを実施し、いずれの統合パターンが、建て替えによる費用を償還していきながら、安定した経営を実現させることができるのかを検証しているところです。検証結果については、12月下旬に議会で報告する予定としております。

問2 統合した場合、医師を確保できるのか。

(答) 多くの症例が集まる大規模病院への医師派遣に重点を置いていると伺っています。そのような中、仮に両病院ともに、単独で建て替えを行った場合、400床規模の病院では、市内に不足する医療機能を提供するだけの医師を確保することが困難であると考えられます。2病院が統合し病床規模を拡大することで、より多くの医師を確保しやすくなり、高度な医療を提供することのできるチーム医療体制や救急医療体制を、構築することが可能になると考えています。

問3 尼崎総合医療センターができて、阪神圏域の高度急性期の医療を対応しているため、伊丹市内に高度急性期病院をつくる必要がないのではないか。

(答) 尼崎総合医療センターは、阪神圏域の三次救急を担っていますが、二次救急などを含めたすべての救急患者を受け入れることは難しい状況です。
また、一刻を争うような脳血管疾患や心血管疾患などの循環器系疾患において、市外への流出が多くなっています。2病院の医療資源を1カ所に集約することで救急体制を強化し、住み慣れたより身近な場所で、市民の皆さまに安心して受診していただけるよう、医療提供体制の構築に努めていくことが必要であると考えています。

問4 市外から流入してくる患者の病床数は見込んでいるのか。

(答) 統合するとなった場合、現在、両病院で入院されている、高度急性期・急性期の患者をすべて、受け入れることとしており、市外の入院患者の割合は35.3%となっております。
さらに、平均在院日数の短縮、稼働率等を考慮すれば、高度な医療を提供することによる市外からの受入患者数の増加にも対応可能であると考えています。

問5 回復期機能を経営が不安定な民間病院で確保できるのか。

(答) 全国の病床に占める民間病院の割合は7割を超えています。不採算医療を担うことが求められている、公立病院では約6割が赤字に苦しんでいます。総体的にみて、公立病院よりも民間病院の方が、安定した経営を維持している傾向にあり、特に回復期機能を有する民間病院は経営が安定している状況であると思います。もちろん地域の実情や様々な特殊事情に左右もされますが。地域に不足する病床機能を充足させていくためには、民間病院と連携したうえで回復期病床を確保していかなければならないと考えています。

問6 平均在院日数短縮の主な要因はなにか。

(答) 医療技術の進歩等が主な要因です。例えば以前であれば、開腹手術により腹部を切開して、直接肉眼で病巣を確認しながら手術を行っていたものが、現在は腹腔鏡手術により、超小型カメラで病巣などを観察しながら手術を行うことができます。この場合、お腹に、5~10ミリぐらいの穴を3~4か所空けて手術をしますので、傷も小さく回復までの時間や入院期間が短くなります。また、がん治療における化学療法についても、最近は医薬品の進歩により、副作用が軽減されましたことから、早期に退院し、通院による化学療法が主流となっております。

問7 必要となる病床数を積算するうえで、加古川中央市民病院平均在院日数10.41日/人を指標とした理由は。

(答) 加古川中央市民病院は、公立病院と民間病院が統合することによって600床規模の病院を開設されております。市立伊丹病院と近畿中央病院が統合した場合の新病院は、加古川中央市民病院と同規模、同程度の医療機能の提供体制を有することを想定していることから、加古川中央市民病院を指標としました。

問8 現地建て替えの工事期間中、診療機能が停止されることはないか。

(答) 現在の診療機能を継続したまま病院を建設する方向で検討しています。現在の病院の医療提供を継続しながら、現地建て替えを行うためには、現在の病院敷地を拡大する必要があるため、病院北側にある市有地(老人ホームの土地)等を活用する方向で調整を進めています。

問9 回復期機能の病床を民間で確保できるのか。

(答) 現在、市内にある回復期病院の病床数は320床程度あり、その稼働率は70%であることから、約100床程度の空き病床があるため、2病院が統合し新病院ができた場合でも、88人を受け入れるだけの空き病院は市内に確保されているものと考えております。
しかしながら、今後の高齢化の進展に向けて、不足する回復期病床の確保については、2病院の統合再編に関らず、地域医療体制を構築していく上で、大変重要な課題であると認識しております。
今後、市、県、国が連携しながら、民間との役割分担のもと、地域全体で解決していかなければならない課題であると考えております。

問10 市内完結率80%を目指す必要があるのか。

(答) 兵庫県の圏域内完結率の平均が高度急性期は約78%、急性期は約82%です。一方、伊丹市内の完結率は高度急性期が51%、急性期が66%と兵庫県平均に比べ低い状況です。市民の皆さまが安心して医療を受診していただけるよう、兵庫県内の平均程度の完結率を目標にすべきであると考えています。

問11 高齢者の人口の増加が予想される中、800床から600床に病床を削減して問題はないのか、しっかり検証して、市民の皆さんが安心して医療にかかれるように病床を確保して欲しい。
今回、検証された社人研の市人口推計と伊丹市総合計画の人口推計との差についての見解は。

(答) 今回の社人研人口推計に基づいた医療需要調査では、2040年が医療需要のピークとされております。総合計画の人口推計の場合におきましても、600床規模であれば、将来における医療需要に対応可能であると考えております。

問12 災害時、浸水想定が0.5メートル程度であれば近畿中央病院は機能できるため残すべきではないか。

(答) 高度急性期、急性期機能を担う病院を、浸水が想定されている場所に建設することは避けるべきであり、市民の皆さまが安心して病院にかかっていただけるよう、今回お示しした現地建て替え案が市内においては、最適な場所であると考えます。

問13 厚生労働省が公立・公的病院の再編統合を進めるための再検証の議論が必要としたことに対して全国の市町村が反対している。過疎地で病院が無くなれば、通院時間が片道3時間かかる場所などもあることから、伊丹市もよく考えて統廃合を進めて欲しい。

(答) 一定のデータのみを用いて一律に、厚労省が424病院を公表されたことは、地域の医療機関でも問題視されています。地方では、病院のアクセスを考えた場合、そこの病院でしか受診できない実情があります。一方、都市部では病院が近接していますので、医師の確保が難しい状況にあることも考えなければなりません。地域に必要とされる医療を安定的に提供いくための最適な方策を、検討していく必要があります。

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