市教育委員会は、令和元年5月30日、伊丹の歴史上、重要であるとして3棟同時に「市指定有形文化財(建造物)」に指定しました。
猪名野神社は、江戸時代に「野宮(ののみや)」「天王宮」「牛頭天王(ごずてんのう)宮」などと呼ばれ、伊丹郷町の氏神でした。明治時代から、主祭神は素戔嗚(すさのお)神です。
明治2年(1849)の神仏分離で「野宮牛頭天王」を、現在の社名「猪名野神社」に改めました。
境内は、本殿・拝殿・幣殿を中心として、周囲にいくつかの摂末社、神輿蔵、社務所を配しています。近世、伊丹郷町の酒造家・町人等が寄進した燈籠・碑や算額、絵図など、伊丹の歴史を語る上で必要不可欠な遺産が数多く残されています。
猪名野神社拝殿(正面より)
隅木入春日造で、高い切石積み基壇上に建ち、春日造りとしては大規模な社殿です。貞享2年(1685)に建立されたことが棟札からも明らかで、保存状態が良く、技術的にも上質で、市内を代表する神社本殿遺構です。
本殿(左)・幣殿(右)
享保16年(1731)、拝殿建設ののち幣殿が建てられているので、その時改造があったと思われます。
拝殿
寛政5年(1793)に本殿を二間半北に引くと『兵庫県神社誌』にあり、これが幣殿を建築するための曳家であろうと推定されます。